政府は13日、今年の「首都圏白書」を閣議決定した。今後の高齢化は郊外のニュータウンなどでとりわけ急速に進んでいくと説明。一方で現役世代は減っていき、2040年には多くの地域で高齢者1人に対し2人未満になると見込んだ。介護職員の確保がさらに難しくなっていくことも予測。元気な高齢者や女性も働きやすい環境をつくることなどにより、誰もが活躍できる社会に変えていくことが大事だとしている。
日本の高齢化率は2015年の時点で約25%だ。今回の白書では、「我が国は世界に例のない超高齢社会に到達している」と解説。首都圏では今後も、高齢者が大幅に増えていくとの見通しを改めて示した。さらに、国立社会保障・人口問題研究所のデータなどを用いて行った推計の結果を紹介し、「特にニュータウンが多く立地する都心部から概ね50km以内の郊外部では、後期高齢者の急速な増加が見込まれる」と指摘。1人暮らしや夫婦のみの世帯も増えると補足した。
加えて、生産年齢人口(15~64歳)の減少にも触れている。およそ25年後の2040年には、高齢者1人に対する人数が首都圏のほとんどの地域で2人未満になるという。この将来像とあわせて、介護サービス業の有効求人倍率が3倍を超えている現状(昨年12月)も図示。マンパワー不足のさらなる深刻化に警鐘を鳴らし、「首都圏が連携して対応を進めることが重要」と呼びかけた。
■ 空き家の有効活用を
白書はこのほか、空き家が増え続けている状況にも言及した。首都圏全体では、2008年から2013年までにおよそ23万戸増加。絶対数は東京圏が多いが、周辺の4県では全体に占める割合が年々上昇してきており、縁辺部では25%を超える市町村もあるとした。そのうえで、「円滑な住み替えなどに加えて、空き家や中古物件の流通を促進することが重要」との見方を示している。
首都圏の人口推計(白書より抜粋)