(株)ヤクルト本社は、帝京大学医学部小児科学講座との共同研究の成果として、育児粉乳で哺育される乳児にガラクトオリゴ糖を継続的に摂取させることにより便中のビフィズス菌の占有率が増加し、腸内フローラが母乳栄養児型へ変動することを明らかにした。
ヤクルトでは、大腸でビフィズス菌を増加させ、整腸作用を示す機能性のガラクトオリゴ糖の継続摂取が乳児のおなかの健康に役立つ可能性が示されたと分析している。
人の腸内には様々な細菌が生息し、腸内フローラを形成している。新生児は無菌の状態で誕生し、生後間もなく腸内フローラが形成される。腸内フローラの形成過程は乳児によって大きく異なるものの、ほとんどの乳児には、生後数週間のうちにビフィズス菌優勢のフローラ(ビフィズス・フローラ)が形成されることが報告されているという。
乳児にビフィズス・フローラが形成されることで、細菌性の感染症の罹患を防ぐと言われている。
母乳で育つ乳児はビフィズス・フローラが形成されやすく、その要因として、母乳中に含まれるオリゴ糖が小腸などで吸収されずに大腸まで到達し、ビフィズス菌に選択的に利用されることがわかっている。
このため、乳児を哺育は母乳哺育が第一選択となるが、様々な理由から育児粉乳による哺育が行われる場合は、母乳哺育に比べ、乳児の糞便の大腸菌やクロストリジウムといったビフィズス菌以外の細菌の検出頻度が高い。
これまでの研究で、ガラクトオリゴ糖はビフィズス菌に選択的に利用されること、また、成人を対象とした試験でもビフィズス菌を増やすことがわかっている。
今回の研究は、粉乳哺育中の生後31日から54日目の乳児35名を対象に、2週間にわたって実施。保護者による試験の辞退、母乳哺育への切り替えのため参加を見合わせた5名、試験開始時において糞便中にビフィズス菌が検出されなかった8名、計13名の乳児を除く22名を対象に解析を行った。
研究では、ガラクトオリゴ糖を含む粉乳哺育を2週間継続した場合、風便中のビフィズス菌が占有率が有意に図化したことが確認された。
ガラクトオリゴ糖が乳児を母乳栄養児型に変動
一方、母乳哺育においてはビフィズス菌占有率の増加により、粉乳哺育の乳児よりも糞便中の微生物構成の多様性が減少することが確認されている。
そこで、微生物構成の多様性指数について追加解析を行ったところ、ガラクトオリゴ糖を継続摂取した乳児でも腸内フローラ構成の均等度が有意に減少した。
また、微生物集団の菌種も減少傾向が認められ、乳児の腸内フローラが母乳栄養児型に変動していることが明らかになった。
ヤクルト本社では、今回の研究成果について、「育児粉乳を哺乳している乳児によるガラクトオリゴ糖の継続摂取が、乳児の健康管理に有効であることを示すものであり、ガラクトオリゴ糖が、乳児の健やかな成育に役立つことを示す大変意義のある成果」と強調している。