世界の政治経済が激動している。
中国では先月閉幕した全国人民代表大会で憲法改正を実施、国家主席の任期を撤廃した。
これにより、習近平国家主席は二期目が終わる2023年以降も続投して、長期にわたる政権を築くことが可能となった。
さらに、ロシアではプーチン大統領が圧倒的勝利により、中国同様に長期政権を手中に収めた。
覇権主義国家の中国とロシアが共に長期政権となることで、自らの都合に合わせて世界の姿を変えさせる危険性を孕んできた。
一方、米国を中心とする旧西側陣営は何とも心もとない現状である。
西側の雄、米国トランプ大統領は自らのロシアゲート疑惑など問題を抱えるなかで、国務長官を始めとする閣僚や政府高官を相次いで更迭し、秋の中間選挙を控えて公約である「米国第一主義」を一層徹底し、自国民にアピールするために、保護主義政策を強引に押し進めている。
先月には一部の国を除き、鉄鋼とアルミニウムの輸入に追加関税を課すと表し、中国には知的財産権の侵害を理由に「通商法301条」を発効するなど状況は、米中貿易戦争の様相を呈し、世界の政治、経済、とりわけ金融市場を混迷させている。
またEUの覇者ドイツではメルケル首相の政権運営が綱渡りの状態となっていることは記憶に新しい。
今や、自由貿易主義を声高に叫ぶのは中国、変われば変わるものである。
さて、わが国の安倍首相、昨年来森友問題で内閣支持率の乱高下を繰り返し、公文書改竄問題で支持率が急低下、危険水域突入寸前となった。最近までは秋の自民党総裁選3選は盤石と言われていたのが噓のようである。まさしく政界一寸先は闇。
ただ、内閣支持率が下がったとは言え、野党の支持率は依然として上向いていない。
公文書改竄は無論論外であるが、そろそろ、与野党による外交・内政問題の真っ向な論戦を期待したい。
内政問題は言わずもがな、外交問題だけでも近年稀に見るほど盛り沢山である。
まずは保護主義政策をとるトランプ大統領とのトップ会談。
トランプ大統領は安倍首相との蜜月関係は関係なしと言わんばかりに「日本にはもうだまされない」と発言、このままでは、中国同様に日本製品に対しても高い関税が課せられる懸念が十分ある。国務長官でさえも自身の意にそぐわなければ更迭し、側近をイエスマンで固めたトランプ大統領に世界経済と自由主義経済発展のために訪米して粘り強く交渉を期待したいところ。また急展開した史上初の米朝会談も気がかりである。
次に風雲急を告げる北朝鮮問題。電撃的な中朝会談の開催、今月27日に予定される南北首脳会談、そして米朝会談など矢継ぎ早に外交戦略を繰り広げる北朝鮮。
日本を頭越しに一気に事態が進展する可能性がある。いまは連立方程式を解くが如く、北朝鮮との会談を計るなどして核・ミサイル・拉致問題を解決する絶好のチャンスである。
そして、北方領土問題。長期政権となったプーチン大統領とは今こそ腹を割った会談を期待したい。プーチン大統領との長年の信頼関係が築き上げられているからこそ可能である。
世界情勢が大きく変わるいま、森友問題でまさかの安倍首相退陣は、国益を大きく損なうことになる。
安倍首相には、森友問題によるわが国の外交面での数々の出遅れを挽回するために、いま一度奮闘をお願いしたい。
自ら陣頭指揮を執り、ニッポン丸が漂流しないように万全の舵取りを期待する。
一歩一歩、確実、着実に成果を出すことが内閣支持率のアップに繋がることにもなる。
さて、年初に今年の株価最高値の予想として、日経平均株価30,000円を挙げましたが、想定外の株価・為替動向を考慮して、一割ダウンの27,000円に修正します。
悪しからず、御了承ください。