新たなテクノロジを活かした介護サービスを展開しているパナソニックが、高齢者の自立支援につながるケアマネジメントを人工知能(AI)やIoTを用いて後押しする仕組みの開発に乗り出した。機能訓練を重視したデイサービスなどを運営するポラリス(兵庫県宝塚市)と提携し、2月から実証実験を始めている。事業者や自治体などに売り込んでいく構想。2019年度中にも事業化したい考えだ。
政府の舵取りの方向性が念頭にある。自立支援・重度化防止を推進しており、来年度の介護報酬改定でも新たなインセンティブが組み込まれた。この流れは今後も続いていき、効果的なケアマネジメントがさらに重要となる −− 。そうした認識から、ビッグデータをもとにAIがケアプランを自動で提案する仕組みの構築を目指す。
利用者の状態を改善するだけでなく、現場の負担を軽くして利用者と接する時間を増やす効果も狙う。パナソニックの担当者は、「介護職員のモチベーションアップにもつながる」と説明。「お世話が中心の介護ではなく自立支援につながるケアを提供できるプラットフォームを構築し、高齢者福祉のパラダイムシフトにチャレンジする」としている。
実証実験では、ポラリスが運営するデイサービス付きの賃貸住宅を使う。ベッドセンサーや人感センサー、食事・排せつを自己申告するボタンなどを設置。生活や睡眠のリズム、活動量などのデータを継続的にとり、クラウドへ蓄積していく。さらに、デイサービスで実施した運動の内容やアセスメント、モニタリングの記録なども加味。ポラリスが培ってきたノウハウも反映させ、自立支援や重度化防止を重視したケアプランをAIに作らせる。最終的なとりまとめはケアマネジャーが担う。内容に問題がないか確認し、必要な修正などを済ませて決定する運びだ。
パナソニックは今後、要支援・要介護の高齢者を支える目的のAIのニーズが高まるとみている。2025年には事業規模を100億円超まで拡大できるとして、サービスの開発に力を入れていくという。