2018年3月15日 29年度下半期の消費者動向調査 引き続き「健康」、「経済性」、「簡便化」が三大志向に

日本公庫農林水産事業が今年1月に実施した「平成29年度下半期消費者動向調査」の結果、現在の食の志向は、「健康志向」、「経済性志向」、「簡便化志向」が前回に引き続き三大志向となった。今回の調査では、上昇傾向にあった「健康志向」が低下した一方、低下傾向にあった「経済性志向」が上昇に転じている。「簡便化志向」は小幅な上昇が続き、過去最高の水準となっている。

この調査は、全国の20歳代から70歳代の男女各1000人の計2000人を対象に、インターネットによるアンケートにより実施された。

 

世帯構成により食の志向に大きな差

調査結果によると、消費者の現在の食の志向については、「健康志向」が42.9%となっており、昨年7月に実施した前回調査時より1.7ポイント低下している。「経済性志向」は35.1%で2.3ポイント増加し、「簡便化志向」についても31.7%で0.3ポイント上昇している。引き続きトップとなった「健康志向」が前回までの上昇傾向から低下した一方で、低下傾向にあった「経済性志向」が上昇に転じている。また、「簡便化志向」が微増し過去最高となった。

世帯構成別にみると、子どものいない世帯では「健康志向」をはじめとし、「経済性志向」、「簡便化志向」を除く全ての志向で他世帯より高くなった。一方で、単身世帯では「経済性志向」と「簡便化志向」で突出して高くなり、他の全ての志向では最も低い水準となった。

 

輸入食品のイメージは上昇傾向

国産食品と輸入食品に対するイメージに関する質問では、価格については、国産食品は「高い」と答えた割合が72.0%となり、4半期連続で上昇。平成28年1月調査から4.1ポイント上昇している。一方、輸入食品については「安い」が67.4%で、4半期連続で上昇し、平成28年1月調査から3.3ポイント上昇している。

また、輸入食品は「安全面に問題がある」が41.9%となっており、5半期連続の低下となった。平成27年7月調査から7.1ポイント低下している。さらに、輸入食品は「おいしくない」も14.2%となり、5半期連続で低下。平成27年7月調査から3.5ポイント低下している。従来からの国産食品の「高い」、「安全」、「おいしい」、輸入食品の「安い」というイメージは過半を占めるものの、輸入食品のイメージが上昇傾向にあることが伺える結果となった。

 

子供のいない世帯が最も国産品を選ぶ

輸入食品と比べ、どのくらいの価格レベルまでなら国産食品を選ぶか、いわゆる「価格許容度」については、「3割高を超える価格でも国産品を選ぶ」が18.2%となり、前回調査よりも低下している。「3割高までなら」は9.4%、「2割高までなら」が18.0%、1割高までなら」が18.2%となり、それぞれ上昇している。これらの合計値の「割高でも国産を選ぶ」は63.9%となり、前回調査と同じ値となった。

世帯構成別でみると、「割高でも国産を選ぶ」と回答した割合は、「子供のいない世帯」が65.6%、「子供のいる世帯」が64.1%、「単身世帯」が55.7%の順となり、子供のいない世帯が最も「割高でも国産品を選ぶ」という結果となった。

品目別にみると、子供のいる世帯と子供のいない世帯が「割高でも国産を選ぶ」割合が単身世帯よりも10ポイント前後高いというのが全品目に共通した傾向となっている。さらに、子供のいる世帯と子供のいない世帯とを比較すると、「割高でも国産を選ぶ」割合は総じて両者が拮抗しているものの、牛肉と豚肉では後者が前者を4ポイント程度上回っているのが特徴的だ。

また、日本の伝統的な主食である米は、全品目の中で唯一「3割高を超える価格でも国産品を選ぶ」との回答において、子供のいる世帯が子供のいない世帯を上回る結果となった。


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