国土交通省はこのほど、建設業の週休2日の推進等、政府の「働き方改革実行計画」等も踏まえ、公共建設工事の発注者が連携し、建設業の働き方改革を推進するため、同省策定の「公共建築工事の適正な工期設定の基本的考え方」について所要の見直しを行うとともに、中央官庁と都道府県政令市の営繕担当課長で構成される会議取りまとめに変更した。今後、各種会議等を通じて、市町村等にも周知する。
この基本的考え方は、国交省官庁営繕部が平成27年10月に公共建築工事の適正な工期を確保するための方策等を取りまとめたもの。
今回の改正では、公共建築工事の適切な工期設定に向けた発注者間での連携促進のため、国交省取りまとめから中央官庁営繕担当課長連絡調整会議(中央官庁の営繕担当課長が構成員の会議)及び全国営繕主管課長会議(国交省、全国の都道府県、政令市の営繕担当課長が構成員の会議)取りまとめに変更する。
また、必要工期より短い工期設定のため、長時間労働是正や週休2日の確保等が困難となり、建設業の将来にわたる担い手確保に支障をきたすものであることを明記。
さらに、適正な工期を確保するための方策として、①設計者が設計意図を遅滞なく工事受注者等に伝達する(設計意図を正確に伝えるため、設計図書に基づき、質疑応答、工事受注者が作成する施工図等の確認、工事材料に関する助言等を行うこと)ことが可能となるよう努めること、②後日程の工事に全体後期のしわ寄せがないよう設備工事などの適正な施工期間を考慮することを明記している。
基本的考え方
改正された基本的な考え方では、基本方針として、工事の規模、地域の実情、工事内容、施工条件等を踏まえ適切に工期を設定することを掲げている。
調査・設計段階では、現地調査及び関係者等の協議・調整に要する期間、設計、入札契約手続及び施工の期間と近隣等関係者への説明・調整に要する期間の十分な想定、敷地・施設現況等の事前調査の十分な実施、図面審査の確実な実施、要求性能と施行中の確認事項の設計図書への明示を定めている。
工事発注準備段階では、適切な後期の入札条件への設定、債務負担行為の積極的活用等、工事施工時期の平準化、技術者を過剰に拘束しない工期設定を掲げている。
入札契約段階では、明確な質問内容と施工条件の明記、工期短縮に関する技術提案の原則禁止をあげている。
施工段階では、迅速な承諾行為とワンデーレスポンスの実施、工事の進捗状況の的確な把握、関係工事間の調整の適切な実施を定めている。
その他留意事項として、多雨など自然的要因や労働事情など社会的要因、週休2日の確保や不稼働日等、受電時期や設備の総合試運転機関等を考慮することなどを規定している。
工期の変更では、設計図書の施工条件と現場の状態が一致しない場合等に適切な設計変更等を実施することとした。