多様化する消防団の役割を踏まえて、特に大規模災害時のマンパワー確保等のために必要な消防団員のあり方や多様な人材の確保方策などを検討してきた、消防庁の「消防団員の確保方策等に関する検討会」は9日、検討の結果を報告書にまとめた。報告書では、今後の消防団員確保と地域防災体制のあり方について、大規模災害の発生が懸念される中、消防団員の確保と質の向上を通じ、消防団の災害対応能力を向上させる必要があるとの考えを示した。また、消防団だけでなく自主防災組織等との適切な役割分担と連携のもと、地域防災力を充実強化し大規模災害時の役割に対応することが不可欠としている。
基本団員確保を中心とした消防団員確保について、「基本団員」の確保が引き続き重要であり、役割を果たすために必要な知識・技術を身に付ける訓練の実施が必要とした。また、多様な人材に消防団に入団してもらうため、消防団の知名度・イメージアップのための取組や働きかけが重要との考えを示している。
大規模災害時のマンパワー確保に係る課題への対応として、「大規模災害団員」の導入を提言。大規模災害時に限定して出動し、基本団員だけでは対応できない役割を担う「大規模災害団員」の枠組み例を示し、各地方公共団体での導入を促進することとしている。
また、自主防災組織等の対応能力の向上、消防団との役割分担・連携強化が不可欠であり、とくに自主防災組織等のリーダー育成等を進めるべきとしている。
さらに、大規模災害時、管内の消防力だけで対応不可能な場合に、消防団の応援出動も考えられると指摘している。
多様な人材の活用に向けた工夫
多様な人材の活用に向けた工夫として、女性、地方公務員、消防職員OB・消防団員OB、学生等の多用な人材の消防団への参加を促すことが必要と提言。特に、大学等と連携した学生の入団促進・先進事例の横展開や、少年消防クラブ員OBの入団促進のため、少年消防クラブの運営等で消防署・消防団が普段から積極的に連携することや高校生までのクラブ員を継続すること等が必要としている。
また、消防団員が所属する事業所の理解促進、消防団協力事業所精度の導入促進、協力事業所に対するメリット等の横展開等が必要との考えを示した。
さらに、事業所の資機材等の活用や消防団員のなり手確保のための協力について、事業所・経済団体への要請、協定締結等が有効としている。
消防団員の活動環境の整備
消防団員の活動環境の整備においては、転居による退団者について、転出先でも消防団活動を容易に継続できるようにする仕組みづくり(消防団員歴を示す紹介状の発行等)が有効とした。
また、活動実態に見合う適切な年額報酬や出動手当の支給、消防団の装備の集中的・計画的な改善について、引き続き取り組む必要があると指摘している。