国立がん研究センターはこのたび、関係学会や専門医が推奨するがんの治療(=「標準治療」)を2013年に受けた患者が、全体の72%だったと発表した。前年の68%から、4ポイント増加している。
調査は、胃がんや大腸がんといった5種類のがんに関連する、9つの「標準治療」を分析した。全国297ヵ所の施設で、がんの診断を受けた45万3660人を対象で、平均年齢は66.5歳。性別では、男性が44.8%、女性が55.2%となっている。
前年から「標準治療」の実施率に大きな変化はなかったが、調査項目によっては、施設間で差が見える結果となった。がん診療連携拠点病院の参加率も、昨年の55%から68%に上昇した。
結果をみると、肝がんの切除前の検査が92%、ステージIからⅡの肺がんへの手術・放射線治療が89%と高い一方で、乳がんの乳房切除後の放射線照射は37%と「標準治療」の実施率が低かった。行わなかった理由では、年齢やそのほかの疾患などがあげられている。
がん対策基本法では、がん医療の均てん化が中心的な施策のひとつとされており、これまではその推進に向け、がん診療連携拠点病院の整備が進められてきた。だが、均てん化を評価する体制は確立されておらず、全国で診療の質の継続的評価体制の確立が必要とされている。がんセンターは、今回の調査のようなデータの蓄積が均てん化を進めるうえで、診療の質を評価する指標になりうるとしている。今後は、より多くのがんの種類を項目に設定することで、調査範囲を広げていきたい考えだ。