国土交通省は、自動車整備業での人材不足への対策の一環として、自動車整備業で女性が働きやすい環境づくりを促進するため、自動車整備に従事する女性整備士191名を対象としたアンケート調査を実施するとともに、その結果に基づき、「自動車整備業における女性が働きやすい環境づくりのためのガイドライン」を策定した。ガイドラインで自動車整備事業者において、女性が働きやすい環境づくりに取り組むことを推奨している。
自動車整備業は、その仕事内容等により男の職場というイメージが定着しているが、近年、自動車の電子化等により作業内容が変化したことや、女性特有のきめ細かな対応による顧客対応サービスの向上等から、女性の自動車整備士に改めて注目が集まっている。
国交省自動車局では、自動車整備人材確保・育成推進協議会と協力し、現役の女性整備士の活躍の事例やそのための職場の改善ポイント等を集め、関係事業者への周知や女性に対する自動車整備業のPR活動等を行っている。
ガイドラインでは、工具・機器の改善、作業分担の工夫について、アンケートの結果、女性整備士は、同じ作業であっても男性整備士よりも身体的な負荷を感じやすく、体力面・筋力面に不安を抱えており、女性に優しい工具・機器の導入や、男性整備士との作業分担を望む声があることを指摘。
その上、望まれている工具・機器の仕様として、軽量化・コンパクト化、省力化(柄の長い道具)、振動の軽減をあげた。
また、作業による身体的負担としては、女性整備士が身体的負担を感じやすい作業に動力伝達装置、エンジン、足回り(ブレーキ、サスペンション)の整備作業を、身体的負担をあまり感じない作業には外装の整備作業、室内での作業をあげている。
これらを踏まえ、整備事業場が取り組むべき方策として、コンパクト化や省力化された工具、機器の導入を掲げている。
設備面の改善については、アンケートの結果、最も多く望まれている設備は工場内の空調設備であり、特に、冬の暖房設備を望む声が多くあった。また、男女別のトイレ、シャワールーム、更衣室を望む声もあるとしている。
その上で、整備事業場が取り組むべき方策として、男女別の整備の充実、工場内の空調関連設備の充実をあげた。
制度や体制面の改善については、アンケートの結果、女性整備士からは、出産・育児などによりキャリアの継続に不安を感じるという声が多くある。具体的には、柔軟な勤務体制を望む声が最も多く、次いで、産休・育休明けの復職研修制度を望む声が多かった。
また、女性整備士を雇用し、これらの作業環境の改善に取り組むにあたり、自治体等による『女性活躍推進』のための支援制度もあることを取り上げた上で、検討の際の参考とするよう求めている。
その上で、整備事業場が取り組むべき方策として、出産後の復職フォロー、育児に関するフォロー、フロント業務と自動車整備が両立できる働き方の導入をあげた。