東京工業大学や内閣府の研究チームは7日、人の声を聞き分けて位置を特定するシステムを組み込んだドローンを、世界で初めて開発したと発表した。災害現場での活用を想定しており、夜間や暗所、がれきの下敷きになった人など救助者が見えにくいケースでの救助に役立つことが期待されている。
開発したドローンでは、機体にケーブルでつながれた球状の装置に取り付けた16個のマイクで災害現場の音を拾い、人の声と騒音などを判別。その情報を基に、要救助者の位置を3次元の地図で表示する機能を新たに組み込んだ。装置は雨などの悪条件でも運用が可能だ。
災害発生時は一般的に、3日(72時間)以内の救助が、その後の生存確率を左右するといわれている。救助には音声情報が重要な役割を果たすが、実際には周囲の騒音や機材の音によって、助けを求める声を聞くことは大変難しく、特にドローンや有人ヘリコプターではプロペラや風の音などで人の声が聞こえにくかった。
研究グループの田所諭プログラム・マネージャーは、音声検出システムについて、「今後、ドローンはもとよりさまざまな救助資機材にこの技術が搭載されることで、要救助者発見につながる音声情報の収集が可能になり、大規模地震災害や水害などでの人命救助実績につながることが期待できる」と話している。