国土交通省は、2017年を生産性革命「前進の年」と位置付け、建設現場の生産性向上に向けて、建設生産プロセスの各段階で3次元データ等を活用する「i―Construction」を重要施策として取り組んでいる。国交省はこのほど、建設生産プロセスの各段階での3次元データの利活用方法等や今後の3次元データ利活用に向けた「3次元データ利活用方針」を策定した。今回策定した利活用方針では、測量・調査、設計、施工、維持管理の各段階での利活用方法等を具体的に示すとともに、効率的な利活用に向けたシステム構築等の重要な取組み、推進体制や今後のスケジュール等をまとめている。
各段階での利活用方針として、測量・調査段階においては、測量段階から3次元データを導入することで、まず第1に、測量・調査、設計、維持管理に至る建設生産プロセスで一貫して3次元データの利活用を図ること、3次元化された公共事業の測量データと周辺の土地利用データとの重ね合わせにより、河川氾濫シミュレーション等、各種シミュレーションへの活用や都市部における土木・建築構造物の景観検討に利活用することが可能であることなどをあげている。
また、設計段階では、図面間の不整合の解消、鉄筋同士の干渉部分を自動で判別する干渉チェックにより設計品質の向上を図るとともに、施工段階での手戻りの防止を図ることなどをあげている。
施工段階では、3次元データにより仮設・施工計画の可視化や工程情報を付与した施工ステップモデルを作成することで、建設現場の安全対策や最適となる人材や資材の確保への活用を図ることなどを掲げている。
維持管理段階では、3次元化された施工段階の出来形計測データを活用することにより、構造物の変位把握の効率化が可能であることなどの考えを示した。
データの利活用に向けた取組みとしては、G空間情報センターとの連携、3次元データの仕様の標準化、既存データの利活用(既存構造物等の3次元化)、3次元データ利活用モデルの実現支援をあげた。
今後の推進体制については、この取組みや目指すべき3次元データの共有方法や利活用ルールについて、「i―Construction 推進コンソーシアム」と「CIM 導入推進委員会」が連携しながら議論を継続的に推進する。
また、2次元データ等の3次元化や各種データを統合して分析することなどを目指しており、そのためには産が持つ3次元データの活用ニーズや保有するデータを分析する技術と、学が持つ3次元データの活用の見識を連携させて研究を進めることが重要であるため、民間企業と大学が連携した研究体制と国が連携することにより、オープンデータ化などの3次元データの利活用が促進される環境整備を目指す。
さらに、3次元データ活用を加速するためには発注者の知識向上も重要であることから、地方整備局や都道府県等職員向けの3次元データに関する研修を充実するとともに、3次元データの活用効果等をとりまとめた事例集を作成し、事業実施の際に活用する。