日本政策金融公庫農林水産事業は、今年7月に実施した「平成29年度上半期消費者動向調査」の結果を公表した。それによると、現在の食の志向については、「健康志向」が14半期連続で最多回答となり、「経済性志向」、「簡便化志向」と合わせて引き続き三大志向となっている。
また、今回の調査では、「経済性志向」が低下し、「簡便化志向」が高まっており、その差も縮まり、僅差になったことが特徴だ。
さらに、「食料品を購入するとき、あるいは外食するときに国産品かどうかを気にかけるか」を聞いたところ、食料品の購入時に「気にかける」割合は約8割となる一方、外食時に「気にかけない」は約6割という回答となった。食料品購入時には国産品であることにこだわる一方、外食時には気にかけない傾向がうかがえる。
この調査は、全国の20歳代から70歳代の男女各1000人の計2000人に対し、インターネットにあるアンケートで行われた。
「健康志向」の高まりと「経済性志向」の低下が継続
今回の調査結果では、消費者の現在の食の志向については、「健康志向」と答えた割合が44.6%で最も多く、14半期連続で最多回答となった。次いで「経済性志向」が32.8%、「簡便化志向」が31.4%で続いており、これらが引き続き三大志向となっている。
また、「健康志向」は上昇傾向にあるが、「経済性志向」は4回連続で低下している。その結果、両者の差は拡大傾向にあり、今回の調査では10ポイント以上の差が生じている。一方、「経済性志向」と「簡便化志向」との差は、平成20年1月の調査開始以来、最少となっている。
今後の志向は「簡便化」から「健康」へ
今後の食の志向については、「健康志向」が47.1%となり、現在の食の志向と同様に最多回答となった。次いで「経済性志向」が32.4%、「簡便化志向」が28.2%で続いている。
この結果を、現在の食の志向と比較すると、「健康志向」は現在の食の志向から2.5ポイント上昇しているが、「経済性志向」は0.4ポイント、「簡便化志向」は3.2ポイントの低下となっている。この結果から、今後の消費者の食の志向は、経済性や簡便化よりも、健康面をより重視していく方向性にあることがうかがえる。
外食時は国産食品か気にかけない傾向
「食料品を購入するときに国産品かどうかを気にかけるか」という質問については、「気にかける」と回答した割合が79.2%となった。また、「外食するときに国産品かどうかを気にかけるか」との質問では、「気にかける」と回答した割合は31.6%となり、3半期連続で低下した。この結果から、食料品を購入するときは「国産」であるかを気にかける人が多い一方、外食時には気にかけない人が多いことがわかった。
国産食品と輸入食品に対するイメージについては、国産食品は「高い」、「安全」、「おいしい」、輸入食品は「安い」、「安全性に問題がある」という、従来からのイメージに大きな変化は生じていないという結果となった。
「3割高でも国産品を選ぶ」が2割超
輸入食品と比べ、どのくらいの価格レベルまでなら国産食品を選ぶかといった〝価格許容度〟についての調査では、「割高でも国産品を選ぶ」と回答した割合が63.9%となっており、前回調査より若干低下したが、依然として高い割合となった。また、「3割高を超える価格でも国産品を選ぶ」が2割を超える水準となった。国産食品と輸入食品のイメージ調査の結果を踏まえると、消費者は国産食品に対して、安全でおいしいといったイメージを持っていることもあり、輸入食品と比べて3割高超の価格帯であっても、国産食品を選ぶという消費者層が約2割存在することが分かった。