ヤマハ発動機は21日、2013年から展開している電動アシスト車いすの新型を発表した。
傾斜している道路でも無理なく真っ直ぐに走行できる「片流れ制御」を搭載。世界初の機能、とPRしている。センサーの感度も向上。ハンドリムを漕ぐ力が弱くても反応するようにした。からだの衰えた高齢者など、より多くの人が利用できるように配慮したという。今月29日に発売する。現行のモデルと同様に介護保険のレンタルにも対応する予定。
電動アシスト車いすを製品化しているのは国内ではヤマハのみ。前へ漕ぐと推進力が加わるため、利用者の負担が大幅に軽減される。坂道をのぼる際も強い腕力を必要としない。下り坂では自動でブレーキがかかり、スピードが抑制されるようになっている。一連の機能が搭載された車輪を、別のメーカーの車いすに設置して使う選択肢もある。手動と電動の良さを併せ持つタイプとして評価されており、高齢者などの自立を促す効果への期待も大きい。
■「車いすにこそアシストを」
「高齢者などにより積極的に活動してもらうためのマシン。自転車は広く社会に浸透したが、車いすにこそアシスト機能が必要ではないか。もっともっと多く使ってもらえるようにしていきたい」。
担当する米光正典部長はこの日の発表会でそう語った。少しずつ出荷が増えているものの、「まだまだ普及が進んでいないのが現状」だという。福祉用具貸与の仕組みに依存している面があり、給付費の抑制に向けた今後の制度改正が打撃となる可能性も否定できないことから、さらなる低価格化も課題と位置付けている。今の希望小売価格は35万3160円(税込み)から。
29日に発売する新型は、傾斜している道で下の方向へ曲がっていってしまう「片流れ」を防ぐ機能が目玉。ハンドリムを漕いだ時に、どれくらいの強さでアシストするかを指示する設定も見直し、個々の体の状態などに応じてより細かく調整できるようにした。加えて、弱い力でもアシストが駆動するようにセンサーを改良している。