2017年9月6日 慢性疼痛、6割が「痛みあっても我慢」3割は未受診‐ファイザー調査

米国の製薬会社ファイザーは23日、慢性疼痛を持つ患者の66.6%が「痛みがあっても我慢するべき」だと考えているという調査結果を公表した。長く続く痛みを感じている人の32.8%は、医療機関を受診していなかった。

 

調査は今年6月、慢性的な痛みを抱える全国の20代以上の男女を対象にインターネットで実施。8924人から有効な回答を得た。対象者にスクリーニングテストを実施したところ、全体の27.4%にあたる2448人に神経障害性疼痛の疑いがあることが判明している。

神経性疼痛の有無と疑いがある人の受診経験
(ファイザーリリースより引用)

「痛みがあってもある程度、我慢するべきだと思うか」と尋ねたところ、「非常にそう思う」10.5%(937人)、「ややそう思う」56.1%(5006人)を合わせて、66.6%(5943人)が「痛みがあってもある程度、我慢するべきだと思っている」ことがわかった。2012年に行った調査の74.3%からは減っているものの、依然として「我慢は美徳」と捉える人が多い傾向にある。

「長く続く痛みに対して、痛みが治ることを諦めているか」と質問したところ、「非常にそう思う」19.9%(1780人)、「ややそう思う」49.2%(4389人)を合わせて約7割の69.1%(6169人)が「痛みが治ることを諦めている」と回答。多くの人が、痛みからの回復を諦めている実態が明らかになった。

さらに、「『長く続く痛み』の治療のため、通院したことがあるか」という質問には、32.8%にあたる2926人 が「いいえ」と回答。その理由では、「通院するほどでもないと思ったから」が36.6%(1070人)で最も多かった。次いで、「通院しても治らない気がするから」が33.8%(988人)、「通院する費用がかかるから」31.9%(932人)が続く。

医療機関を受診するきっかけについて尋ねたところ、最も多かったのは「日常生活に大きな支障が出たとき」と答えた62.2%(5555人)。続いて「あまりにも症状が辛いと感じたとき」56.3%(5023人)、「具体的な疾患の可能性があると分かったとき」27.7%(2468人)が多く挙げられている。

通院しない理由(ファイザーリリースより引用)

■ 我慢する人が多いのは栃木県

「痛みを我慢するか」という質問の回答を都道府県別にみると、我慢していると回答した割合が最も高かったのは栃木県の81.6%。逆に最も低かったのは神奈川県の68.3%だった。「痛みを我慢すべきだと思うか」という質問に「そう思う」と答えた人の割合をみると、最も多かったのは栃木県の74.7%で、最も少なかった秋田県の60.2%とは14.5ポイントの開きが生じている。

また、長く続く痛みについて「諦めている」と答えた人の割合では、愛知県が「非常にそう思う」と「ややそう思う」と回答した割合の合計が75.7%(185人中140人)で最高。一方、最低の沖縄県は2つをあわせた答えが60.6%と、愛知県より15.1ポイント低い結果となっている。

慶應義塾大学医学部整形外科の中村雅也教授は、「痛みの適切な治療を行うためには、医療機関を受診することが重要。痛みを我慢して放置するのではなく、痛みと向き合って早期治療に取り組んでほしい」と訴えている。


株式会社官庁通信社
〒101-0041 東京都千代田区神田須田町2-13-14
--総務部--TEL 03-3251-5751 FAX 03-3251-5753
--編集部--TEL 03-3251-5755 FAX 03-3251-5754

Copyright 株式会社官庁通信社 All Rights Reserved.