2017年8月28日 沖合海域で漂流・海底ごみ実態調査 環境省が海洋大・九大と、今年は北大なども協力

環境省では、東京海洋大学や九州大学などの協力を得て行っている日本沖合海域での漂流・海底ごみ調査を今年度も行うこととした。5ミリ以下の微細なプラスチックごみ「マイクロプラスチック」は含有・吸着する化学物質が食物連鎖に取り込まれ、生態系に及ぼす影響が懸念されているが、このマイクロプラスチックを含めた海の環境汚染状況などについて調べるもの。

この調査は平成26年度に開始。昨年度まで、日本列島周辺の沖合海域を対象として、東京海洋大と九州大の協力を得て実施してきた。今年度は、これまでの海域に加えて、日本南方海域も対象として調査海域を拡大するとともに、大学との連携体制も拡充。海洋大及び九大のほか、北海道大学、長崎大学及び鹿児島大学も加え、計5大学の協力を得て調査を行われることとなった。

 

海底ごみ対策、首脳会合でも関心

海洋ごみについては、国内だけでなく、国際的にも関心が高まっており、ここ数年では、先進国首脳会議「G7」などの場でも対策の必要性が指摘されている。具体的には、平成27年に開催されたG7エルマウサミット首脳会合で、海洋ごみが世界的な問題であることが認識され、「海洋ごみ問題に対処するためのG7行動計画」が策定された。

その後、平成28年のG7伊勢志摩サミット首脳宣言やG7富山環境大臣会合コミュニケ、今年6月のG7ボローニャ環境大臣会合コミュニケ、さらには、同7月のG20ハンブルクサミットコミュニケでも、海洋ごみ対策の重要性などが確認された。

環境省では、平成22年度から、海岸などにある漂着ごみ、海面に浮遊する漂流ごみ及び海底に堆積するごみ(海底ごみ)に関して、量や種類等の調査等を行っている。このうち、漂流ごみ及び海底ごみに関しては、26年度から、それまで行ってきた沿岸域での調査に加えて、日本列島周辺の沖合海域で分布量等の調査を行うとともに、近年、海洋生態系への影響が懸念されているマイクロプラスチックについても調査を行い、その実態の一部を明らかにした。

この調査では、海洋大と九大の協力を得て、海洋大の練習船2隻(海鷹丸、神鷹丸)により目視観測や試料採取を行い、九大の実験室で採取した試料を分析した。

 

トロール網で回収、量など確認

さらに、マイクロプラスチックを含む海洋ごみに関する国内外の関心の高まりも踏まえ、環境省では、今年度から、漂流・海底ごみ調査の更なる充実を図る方針で、これまでの海域(日本列島周辺)に加えて、日本南方海域も対象として調査海域を拡大して調査を行う。

また、大学との連携・協力体制を拡充し、海洋大及び九大に加え、北海道大、長崎大及び鹿児島大の協力も得て、計5大学との連携の下、海洋大練習船2隻(海鷹丸、神鷹丸),北大練習船おしょろ丸、長崎大練習船長崎丸及び鹿児島大練習船かごしま丸により調査を実施する。

実施する調査は、①漂流ごみの目視観察調査、②海表面を浮遊するマイクロプラスチックの調査、③海底ごみの回収調査―の三つ。各大学の練習船で対象海域航行中に目視観測により、漂流ごみの量や種類などを調べるとともに、航行中に、表層を浮遊するプランクトン等の採取に用いるネット「ニューストンエット」を用いて表層を曳網し、表層に浮遊するマイクロプラスチックを採取、数量などを調査する。さらに、トロール網(底びき網)を用いて海底ごみを回収し、量や種類などを確認する。

調査により得られたデータ等を解析することにより、沖合海域での漂流ごみやマイクロプラスチックの海域別の分布量等が把握できる。また、海底ごみの回収調査で得られたデータを解析することにより、沖合海域での海底ごみの海域別の分布量等が把握でき、環境省では、調査結果をとりまとめ次第、公表する方針だ。


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