京セラコミュニケーションシステムと筑波大学は26日、AI(人工知能)を活用した皮膚疾患診断サポートシステムの共同研究を始めたと発表した。3年後の実用化を目標に、2000種類以上の皮膚疾患が判別できるシステムの開発を目指して開発を進める。
研究ではまず、皮膚病の臨床画像をディープラーニングで学習し、メラノーマ(悪性黒色腫)などの皮膚がんをはじめとする複数の皮膚腫瘍を判別する「高精度な画像認識モデル」を開発。そのうえで、皮膚がん以外の皮膚病に適用範囲を拡大し、臨床画像から皮膚病全般の診断をサポートする機能へつなげていく。
開発したシステムは、皮膚科の専門医の診断を支援するほか、専門医がいない医療過疎地や専用機器のない環境で、市販のデジタルカメラやスマートフォンで撮影した画像でも診断サポートが出来る簡易型診断サポートシステムにもなるという。
近年、AIや画像認識技術の進化、IT環境の整備によって様々な画像分析が可能になってきている。レントゲン写真など、画像の取り扱いが多い医療分野では、皮膚病など診断精度が医師の経験で大きく左右される疾患で、AIの活用に大きな期待がもたれている。
中でも早期発見が重要な皮膚がんの患者は1999年から2014年にかけて2倍に増加しており、高度な診断の支援を可能にする診断サポートシステムを求める動きが大きくなっている。