2017年8月2日 ダイバーシティ環境実現へ 阪大、性的指向と性自認で基本方針を策定

大阪大学(西尾章治郎総長)は、学生・教職員ら全構成員を対象とした「性的指向(セクシャル・オリエンテーション)」と「性自認(ジェンダー・アイデンティティ)」(SOGI)の多様性に関する基本方針を策定し、全学に通知した。全構成員を対象とした基本方針の策定は、国立大学では先駆けとなる。

西尾総長名で全学に示された基本方針では、阪大が「地域に生き世界に伸びる」をモットーに、多様で心豊かな地域と世界の創造のために寄与することをねらいとして平成28年4月に策定した「大阪大学男女協働推進宣言」において、「男女協働推進アクションプラン」を全学的に推進し、ダイバーシティ環境の実現を図ることを公表したことを改めて強調。

 

偏向と差別をなくす啓発活動

阪大が目指す研究型総合大学に相応しい多様な知と人材が交差する魅力あるダイバーシティ環境をより豊かなものとしていくために、「性的指向(Sexual Orientation)」と「性自認(Gender Identity)」の多様性と権利を認識し、偏見と差別をなくよう、構成員への啓発活動を行うことを基本方針として提示すると決意を示している。

その上で、阪大は、「大阪大学男女協働推進宣言」とこの基本方針を踏まえ、多様な構成員の意思と選択の自由が尊重され、その個性と能力が存分に発揮できる学修、研究、就業環境の整備に取り組んでいくと宣言した。

昨今、ダイバーシティ環境に関して、L(女性の同性愛者)G(男性の同性愛者)B(両性愛者)T(こころの性とからだの性との不一致)という言葉が一般的に使用されるようになったが、阪大では、LGBTという限定的な観点ではなく、「誰もがそれぞれの性的指向・性自認をもっている」という考え方に基づき、すべての人を対象とするSOGIという文言を基本方針に使用することにした。

阪大では、吹田キャンパス内に今年10月末竣工予定の共創イノベーション棟1階に、「男女協働推進センターコラボレーティブ・スペース」を設置し、一時預かり保育や女子学生・女性研究者らの交流・情報交換の場などに使用することで、全構成員が個性と能力をさらに存分に発揮できる環境の実現に向けた取組を進めている。

 

まずはトイレサインから

SOGIに関する取組の第一歩として、阪大は、1)ALL GENDER、2)〝WOMEN〟〝MEN〟、3)ピクトグラムで機能表示を表現―の3種類のトイレサインを作成した。

「シングルジェンダーのトイレに入りにくい」「じぶんも安心して使ってOKという表示があれば」といった声を反映させるとともに、スカートやズボン、あるいは赤・青といった色分けではなく、ユニバーサルなデザインが求められる大学にふさわしいサインを提案している。

また、トイレスペースであることを視覚的に認識できるよう、機能表示にピクトグラムを使用し、便器等の形を象徴するマークを作成。性別表示と機能表示を区別し、前者をことばで、後者をピクトグラムで表現した。


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