2016年4月20日 高齢者の「フレイル」に注意 低栄養の対策が「十分に実施されていない」

国立長寿医療研究センターは12日、「フレイル()」の進行を止める対策が重要だと改めて指摘する研究報告書をまとめた。悪化の要因となる低栄養について、高齢者への支援が十分に実施されていないと問題を提起。国や自治体などに対して、管理栄養士や保健師などの専門職によるアプローチを充実させるように促している。

フレイルのメカニズム(国立長寿医療研究センター資料より抜粋)

フレイルのメカニズム(国立長寿医療研究センター資料より抜粋)

 

※ 「フレイル」
学術的な定義はまだ確定していない。この報告書では、「加齢とともに、心身の活力(運動機能や認知機能等)が低下し、生活機能が障害され、要介護状態や複数の慢性疾患の併存など心身の脆弱化が出現した状態であるが、一方で適切な介入・支援により、生活機能の維持向上が可能な状態像」と定義している。

報告書では、高齢者が要介護の状態になってしまう要因に着目。2013年はフレイルに関するものが約5割を占め、脳卒中をはじめとする生活習慣病に関するもの(約3割)を上回ったとした。さらに、フレイルが骨折や転倒などにも密接に関係していると考察。こうした怪我で要介護になった人の25%以上が、フレイルを経由していると分析した。

具体的な対策としては、状態を網羅的に確認できるチェックリストを活用することを提案。専門職が高齢者の居宅を訪問し、適切な栄養指導を行うことも効果的とした。このほか、週に1回から2回程度の頻度で継続的に体を動かす環境を、地域に用意することも勧めている。

政府は昨年6月に閣議決定した「骨太の方針」に、「民間事業者の参画も得つつ、高齢者のフレイル対策を推進する」との考えを盛り込んだ。加えて「改革の工程表(昨年12月)」では、2020年度までに47都道府県で低栄養などを防ぐ取り組みを展開すると打ち出している。報告書は、「健診やアセスメントなどの情報を組み合わせ、専門職によるアウトリーチや立ち寄り型相談などの機能を強化させる必要がある」とも指摘した。

 

 


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