国土交通省のi‐Construction委員会(委員長:小宮山宏(株)三菱総合研究所理事長)は11日、これまでの議論の結果を報告書にまとめた。この中で、衛星測位技術やIoTの急速な発展を踏まえ、i‐Constructionを進めるための視点等として、「建設現場を最先端の工場へ」、「建設現場への最先端のサプライチェーンマネジメントを導入」と「建設現場の2つの「キセイ」の打破と継続的な「カイゼン」」の3つに整理している。
報告書ではまた、3つの視点のトップランナー施策として、「ICTの全面的な活用(ICT土工)」、「全体最適の導入(コンクリート工の企画の標準化等)」、「施工時期の平準化」を設定。それぞれで取り組むべき事項を整理した。
このうちICTの全面的な活用については、監督・検査基準等の未整備のほか、ICT建機の普及が不十分であることが全面的な活用に当たっての課題と指摘。課題を踏まえ、新基準の導入、企業の設備投資に関する支援、対応できる技術者・技能労働者の拡大、技術開発等について早急に取り組むよう提言した。
全体最適の導入では、部分最適な設計、施工方式の伴う支障や、優れた新工法、新技術に関する基準が未整備であることが課題としている。
その上で、直ちに取り組むべき事項として、全体最適の導入に向けた検討(下流プロセスを踏まえた設計、施工や維持管理に知見を要する者が設計の段階から係る仕組み等)、規格の標準化、要素技術の一般化に向けた検討(部材の規格の標準化、鉄筋のプレハブ化等の普及に向けたガイドラインの策定等)、サプライチェーンマネジメントの導入に向けた検討をあげている。
施工時期の平準化では、年度末を工期末とする既成概念からの脱却のため、2ヵ年国債の積極的な設定、繰越制度の適切な活用が必要としている。
また、繁閑の差が激しい地方公共団体への取組の浸透のため、地域発注者協議会を通じた連携、入札契約適正化法等を活用した要請を求めている。
さらに、長期的な平準化のため、戦略的なインフラの維持管理・更新に関する計画の策定、地域特性を踏まえた発注を提言した。
推進のための仕組み
i‐Constructionを推進していくための仕組みについて報告書では、国における推進体制の整備、官民コンソーシアムの設立、ビッグデータの活用、他の屋外産業との連携、海外展開について提案している。
このうち国における推進体制の整備では、直轄事業の推進や地方公共団体等他の発注者への普及を支援するため、本省と地方整備局に推進体制を整備する。
ビッグデータの活用では、あらゆるプロセス(調査・測量、設計、施工、維持管理・更新など)で作成される3次元データ等をビッグデータとして活用し、更なる生産性向上の実現や維持管理・更新等に活用する。
他の屋外生産分野との連携強化では、鉱業、農業、林業等に横展開するため、i‐Constructionのノウハウを情報発信する。
海外展開では、各種基準類の国際標準化、i‐Constructionで取り組んだICT、発注方式、検査基準等をパッケージ化し、海外展開することとしている。