人事院はこのほど、総合職試験等からの新規採用職員に対するアンケート調査結果を公表した。それによると、志望動機は「仕事にやりがいがある」、「公共のために仕事ができる」が約7割で、「スケールの大きい仕事ができる」が4割となっている。また、将来どこまで昇進したいと思うかについて、本府省の局次長・審議官級以上と回答した者が5割を超え、事務次官は約2割であった。どのようなタイプの上司の下で仕事がしたいかについては、「言動に一貫性がある」、「丁寧に指導してくれる」がそれぞれ5割で、女性は「仕事と家庭の両立に理解がある」が上位に挙がっている。
この調査は、国家公務員採用総合職試験等に合格して採用された新人職員に対し、志望動機等を把握し今後の人材確保施策へ反映させる観点から、第51回国家公務員合同初任研修(今年4月5日~7日)を受講した職員750人を対象にアンケート調査を行ったもの。有効回答は747人(回収率99.6%)。
国家公務員になろうとした主な理由(3つ選択)では、「仕事にやりがいがある」が67.6%、「公共のために仕事ができる」が65.6%、「スケールの大きい仕事ができる」が39.8%と上位を占めている。特に、「仕事にやりがいがある」と「公共のために仕事ができる」の理由は、例年、約7割の者が挙げている。
採用された試験以外で、合格または内定したもの(複数回答)については、全体では「民間企業」が35.7%、「地方公務員採用試験」が22.5%、「他の国家公務員採用試験」が16.3%となり、男性は「民間企業」が38.6%、女性は「公務員」(他の国家公務員採用試験19.8%、地方公務員採用試験24.8%)が多くなっている。また、法文系では「民間企業」が39.1%、理工・農学系等では「地方公務員採用試験」が25.6%と大きく上昇している。
自分の周りの優秀な学生の就職先(3つ選択)については、法文系の職員では「商社」が45.1%、「金融」が42.0%、「コンサルタント・シンクタンク」が41.1%と4割を超え、理工・農学系等の職員では「メーカー」が43.2%、「進学」が32.6%と上位を占めている。
公務員としていつまで働きたいと思うかについては、「定年まで公務員を続けたい」が54.5%と半数を超えて上昇傾向にあり、能力・実績に基づく人事管理がより求められていると考えられる。その一方で、「若いうちに転職を考えたい」が1.9%、「条件が合えばいつでも転職を考えたい」が7.6%であり、若年での転職を考えている者は、昨年と同様約1割となっている。
将来どこまで昇進したいと思うかについては、全体では「事務次官級」が18.7%、「本府省の局長級」が23.8%、「本府省の課長級」が27.3%となり、本府省の局次長・審議官級以上に昇進したい者が5割を超えている。
どのような資質・能力を重視して仕事をしていきたいかについては、全体では「コミュニケーション力」が33.2%と高く、「柔軟性」が28.8%、「論理性」が27.7%、「主体性」が27.0%と約3割の者が挙げており、職場で上司や同僚と仕事をしていく上で、また、政策立案や政策調整をしていく上で必要と見込まれる能力が上位に挙がっている。
どのようなタイプの上司の下で仕事がしたいか(3つ選択)については、全体では「言動に一貫性がある」(50.1%)、「丁寧に指導してくれる」(48.5%)タイプの上司を、約5割の者が挙げている。そのほか、男性は「明るい・やさしい」、女性は「仕事と家庭の両立に理解がある」上司を望んでいる。
超過勤務についてどのように思うかについては、「勤務時間内で処理したい」が19.8%、「必要最小限に抑えたい」が65.5%となり、合わせると9割近くになる。
仕事と家庭のどちらを優先していきたいと思うかについては、「仕事を優先」と「どちらかと言えば仕事を優先」が合わせて62.4%、「家庭を優先」と「どちらかと言えば家庭を優先」が合わせて36.3%となり、仕事を優先させたいと考える者が家庭を優先させたいと考える者を26.1ポイント上回っている。
どのような取組をより進めると、公務の魅力が向上し、多様な優位の人材の獲得につながると思うか(複数回答)については、「職場全体の超過勤務や深夜勤務の縮減を図る」が57.2%と最も多い。また、「仕事のやりがいや現役職員の活躍をアピールする」、「キャリア形成に役立つ様々な職務を経験させるとともに、将来のキャリアパスを示す」が増えており、人材の獲得には、将来の成長をイメージできるようなキャリアパスの提示や仕事のやりがいなど、公務で働くことの魅力を様々な場で発信していくことがより重要であるという結果になっている。
人事院では、各府省と連携しながら、積極的な人材確保・啓発活動を展開しているところで、霞が関OPENゼミ、1次試験合格者対象の本府省合同業務説明会には新規採用職員の2人に1人が参加し、参加者の9割滋養が有益・概ね有益だと感じている。また、いずれかのイベント等に参加したことがある者は約8割で、平均すると3つ以上のイベント等に参加している。