2017年6月20日 研究チーム「可能性は大きい」 ロボットとの交流で34%の高齢者が自立度改善

国の「日本医療研究開発機構(AMED)」が、介護の現場でコミュニケーションロボットを活用する効果を探った研究のレポートを明らかにした。

飲食や排泄、着替えに必要な生活の動作が活発になるなど、実際に使った高齢者のおよそ3分の1にポジティブな変化が生じたという。「コミュニケーションだけでなく活動・参加を促す効果が非常に大きい」。チームに参加した産業技術総合研究所の大川弥生招聘研究員はそう話した。「より有効に『促し』を行える綿密なプログラムの設計など、これからも改良を続けていけば非常に大きな可能性が開ける」と指摘している。

AMEDがこの研究の構想を披露したのは2016年3月。昨年度に入ってから実行に移した。全国98ヵ所の介護施設、866人の高齢者(脱落・中止を除く)が協力。用いたのは人の言動に反応するコミュニケーションロボットで、「ペッパー」や「パルロ」、「ソータ」など約17機種、およそ1000台を試した。

今回のレポートは結果が確定する前の「暫定版」という位置付け。AMEDは近く正式にまとめて公表する予定だ。コミュニケーションロボットを導入した効果について、スケールの大きな調査を通じて客観的な分析・検証を試みた例はまだ少ない。提供されるデータは、今後の政府の施策にも影響を与える可能性がある。

今回のレポートによると、全体の34.1%にあたる296人の状態が改善。「セルフケア(114人)」や「社会生活(98人)」、「運動・移動(90人)」といった項目で、より活発になった高齢者が多くみられた。ロボットの声掛けに応じて、なかなかベッドから動かなかった人がリビングへ出るようになったり、車いすばかりだった人が歩行器を使うようになったりしたという。大川研究員は、「コニュニケーションのみを目的とするのではなく、自立につながる活動を促す手段としてうまく使えば大きな効果が出る」と説明した。

 


株式会社官庁通信社
〒101-0041 東京都千代田区神田須田町2-13-14
--総務部--TEL 03-3251-5751 FAX 03-3251-5753
--編集部--TEL 03-3251-5755 FAX 03-3251-5754

Copyright 株式会社官庁通信社 All Rights Reserved.