政府系ファンドの産業革新機構と介護大手のセントケア・ホールディングは14日、ケアプランの内容を人工知能(AI)が提案するシステムを手がける新会社「シーディーアイ」を設立したと発表した。自立支援につながる合理的なケアの実現やケアマネジャーの負担軽減を売りに展開を図る。現場でAIの「教育」を進めていき、来年4月からのサービスの開始を目指す。首相官邸が主導する「未来投資会議」ではこの日、世耕弘成経済産業相がこの動きを後押ししていく意向を表明した。
新会社は同社からのスピンオフによって誕生。実証研究を発展させ事業化していく役割を担う。今後、資金を出した企業などと協力し既存の膨大なケアプランをAIに学ばせていく。利用者の心身の状態をブラウザで入力すれば、ケアプランの原案が自動で提示される仕組みなどを想定。ケアマネがそれを確認し、本人の希望など様々な要素を加味して最適なプランに仕上げていく流れだ。
AIに重視させる価値観には自立支援を据える。「いわゆる『お世話をする介護』も重要だが、それだけでは社会の課題は解決できない。自立支援のサービスを追求して転換を図っていく」。セントケア・ホールディングの村上美晴代表取締役会長はそう語った。新会社では、何をもって自立支援とするか有識者も交えて検討していく場を設けるという。岡本CEOは会見で、「要介護度やADLの改善だけが自立ではない。AIを使って何を目指していくのか、そこを誤れば最大のリスクになる。自立という概念を立体的に議論し、価値観を間違わないようにしていきたい」と話している。