東京都は23日、高齢者の万引きの実態を分析した調査結果をまとめた。それによると、万引きで逮捕された高齢者のおよそ半数が1人暮らしだった。調査では、周囲との関係が希薄になったことが原因の1つだとして、孤立を防止する取り組みが必要だとしている。
東京都は、昨年9月から11月にかけて調査を実施。都内で万引きを犯し、逮捕された65歳以上の56人へ日常生活に関する質問をした。さらに、都内に住む一般の高齢者2000人にも10月に同様の調査を行い、このうちの1336人(回収率66.8%)の回答と比べた。
独居の割合をみると、万引きで摘発された高齢者は46.4%、一般高齢者は14.1%。また、近所付き合いを「ほとんどしていない」と答えた人は、前者が31.4%で後者が4.6%だった。家族との会話や連絡について「ほとんどない・家族はいない」と答えた人は、それぞれ28.4%と1.9%になっている。
こうした結果から調査では、高齢者の万引きについて、「背景に孤立や孤独がある」と推測。周囲に支援してくれる存在がおらず、疎外感や不安感、ストレスなどを感じやすいことが原因ではないかとした。このため今後は、都と警視庁や区市町村などが連携して、見守り体制を整備したり、スーパーでの声掛けを行ったりすることなどが、問題解消につながるとしている。
都内で逮捕された万引き犯に占める高齢者の割合は、2010年の20.8%から2016年には29.4%まで増加。万引きは再犯者率が高いのが特徴で、高齢者では昨年捕まった58.7%が過去に万引きを含む犯罪歴を持っていたことが明らかになっている。