2024年10月7日 未来につながる持続可能な農業推進コンクール 今年度から各部門隔年開催、GAP部門で募集開始

農林水産省は、「令和6年度未来につながる持続可能な農業推進コンクール」を実施するとし、現在、10月31日(農業環境対策課に直接提出の場合は11月15日)までの期間で募集を行っている。このコンクールは、持続可能な農業の確立を目指し意欲的に経営や技術の改善、普及等に取り組んでいる農業者、農業団体、流通・加工業者、自治体、教育機関等を表彰するもの。毎年実施されているが、今年度からは「GAP部門」と「有機農業・環境保全型農業部門」それぞれで隔年開催することとされ、今回はGAP部門のみを募集している。

農林水産省では、農業の持続的な発展に向けて、食品安全、環境保全、労働安全、人権保護、農場経営管理等の持続可能性を確保するための一連の取組であるGAP(Good Agricultural Practices:農業生産工程管理)を推進している。

また、令和3年5月に、食料、農林水産業の生産力向上と持続性の両立をイノベーションで実現する「みどりの食料システム戦略」を策定しており、持続的な農業生産にも資するGAPの導入の推進等を目指して取組を進めている。

さらに、令和4年3月、国際水準GAPの取組拡大を図ることでわが国の農業の競争力強化と持続的な発展につなげることを目指し、「我が国における国際水準GAPの推進方策」を策定し、食品安全、環境保全、労働安全、人権保護、農場経営管理の5分野を満たす「国際水準GAPガイドライン」を策定した。

「令和6年度未来につながる持続可能な農業推進コンクール」では、こうした情勢を踏まえ、持続可能な農業の確立を目指し意欲的に経営や技術の改善、普及等に取り組んでいる農業者、農業団体、流通・加工業者、自治体、教育機関等を表彰するとしている。

 

応募対象

今回はGAP部門のみの開催となるが、①第三者認証を備えたGAP(GLOBALG.A.P.、ASIAGAP、JGAP)を取得、または「国際水準GAPガイドライン」に基づく国際水準GAPを実施し、かつ継続的な国際水準GAPの取組を通じて、農業経営の改善や持続可能性の確保等について顕著な成果を上げている農業者、農業団体、自治体、教育機関等、②第三者認証を備えたGAPを取得、または国際水準GAPガイドラインの準拠確認を得たGAP等を実践している農場の農畜産物の消費拡大や普及推進に取り組み、顕著な成果を上げている流通・加工業者、自治体等を対象としている。

応募は、各都道府県のGAP担当部署と農林水産省農産局農業環境対策課にて受け付けている。

 

審査項目と基準

応募された取組については、GAPに関する学識経験や知見等を有する委員で構成される審査委員会により行われ、農林水産大臣賞(1点以内)、農産局長賞、畜産局長賞(3点以内(個別経営の部、団体の部、人材育成の部))が選定される。

審査は、「生産」と「実需」の面から行われる。

生産に関しては、①生産工程管理の改善に向けた継続的な取組、②生産効率性の向上に向けた取組とその効果、③経営の改善に向けた取組とその効果、④地域の内外への波及に向けた取組が審査項目となっているほか、人材育成の部については⑤教育機関における人材育成活動、⑥教育機関における地域の牽引役としての貢献について審査が実施される。

実需に関しては、⑦GAP農畜産物の取扱拡大に向けた取組、⑧GAP農畜産物の販売拡大に向けた取組、⑨生産者への普及推進の取組、⑩地域の内外への波及に向けた取組やSDGs等への対応に関する取組といった審査項目で評価が行われる。

①では、「農薬の適正な保管・利用や異物混入防止など食品安全の取組」、「環境負荷に係るリスク管理やIPMの実施など環境保全の取組」、「機械・設備の点検・整備や農業内の整理整頓、清掃など労働安全の取組」、「労働者への労働条件の提示と遵守や技能実習生等の受入に係る環境整備など人権保護の取組」、「農場ルールの策定や記録の作成・保存など農場経営管理の取組」など、5分野の中で特筆すべき取組や国際水準GAPの継続に向けた負担軽減の取組の内容と実績が審査基準となっている。

②では、国際水準GAPの取組を通じて「作業の効率化」、「資材・労働時間の削減」など、生産効率性が向上した取組の内容と実績が審査基準となっている。

③では、国際水準GAPの取組を通じて「実需者との連携による取引の拡大」、「コスト削減」、「従業員の意識向上」など、経営が改善した取組の内容と実績が審査基準に位置付けられている。

④では、「消費者や流通関係者等への啓発」、「関係者との交流を通じたネットワークの構築」など、地域の内外への国際水準GAPの波及につながる取組の内容と実績が審査基準である。

⑤では、「独創的な国際水準GAPの教育カリキュラムの策定」、「国際水準GAPの教育の充実」などの次代の農業者やGAP指導者等の人材育成のために工夫した取組の内容と実績が審査基準となっている。

⑥では、「地域の農業者等を対象とした国際水準GAPに関する教育・研修の実施」、「GAP認証審査の公開」などの国際水準GAPの普及に関して地域を牽引する役割を果たす取組の内容と実績」が審査基準に位置付けられている。

⑦では、「GAP農畜産物の取扱基準」、「GAP農畜産物を取り扱うにあたっての従業員の意識向上」など、GAP農畜産物の取扱拡大に向けた取組の内容と実績が審査基準である。

⑧では、「GAP農畜産物を用いた商品開発」、「取扱店でのPR方法や自社のHPでの広報」など、GAP農畜産物の販売拡大に向けた取組の内容と実績が審査基準に位置付けられている。

⑨では、「GAPへの取組提案」、「生産者にGAPの取組を継続させる工夫」など、生産者へのGAPの普及推進に向けた取組の内容と実績が審査基準となっている。

⑩では、「消費者や流通関係者等への啓発」、「関係者との交流を通じたネットワークの構築」、「SDGsやESGに係る課題解決に向けたGAPの活用」など、地域の内外への波及に向けた取組やSDGs、ESG等への対応に関する取組の内容と実績が審査項目となっている。


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