介護保険の訪問介護の事業所数が今年、過去最多を更新した。厚生労働省が7月31日に公表した最新の統計で明らかになった。
今年4月審査分で全国に3万5468件。前年同期より1.2%、418件多かった。増加は5年連続。2020年代に入ってからの微増傾向に変化はない。
訪問介護は利用者数や給付費も伸びている。背景にあるのは急速な高齢化。特に都市部を中心として、今後も介護ニーズの拡大が続いていく見通しだ。当面の安定的な市場を狙った法人の新設も増えている。
ただ、ホームヘルパーの不足は極めて深刻。有効求人倍率は15倍を超えており、加齢を理由に一線を退く人も後を絶たない。人材を確保できないため、本来必要なサービスをスムーズに提供できない地域が広がっていることは、現場の関係者の間では周知の事実だ。
ヘルパー不足が要因で休廃業、解散、倒産に至る事業所も増えている。近年の事業所数の増加傾向には、集合住宅の入居者らを主な対象としてサービスを提供するモデルの広がりが寄与している、との見方もある。