日本財団は7月15日の「海の日」に合わせて〝海〟に関する意識調査結果を公表した。1年のうち一度も海を訪れていない人は過半数に上っており、さらに、ここ数年増加するなど海離れが顕著となっている現状が浮き彫りとなった。家から遠いことや、時間がないことなどが大きな要因。さらに、そもそも海に行くという発想がないという回答も増加傾向にあるという。
調査は、日本人の海に対する感情や認識がどのように変化しているか、さらに社会の動向や情勢によってどのように遷移するかを定点観測するもの。2017年から2年に一度実施している。
調査によると、「海は大切な存在」と答えたのは全体の約7割を占めたものの、「海が好きだ」と回答したのは約4割。「海が好き」との回答は、2019年は57%、2022年は52%。年々低下している現状が明らかとなった。〝大切〟であると意識しながらも、好意度は下がっている現状が浮き彫りとなった。
59%と約6割となった「海に行きたい」と回答も、ここ数年減少トレンドを辿っている。2022年は72%であったことから、この2年間で13ポイントも回答率が減った。特に、20代、30代は15ポイント、17ポイントと大きく減少した。
この1年間で一度も海を訪れていない人の割合は52%と過半数を占めた。2022年比で7ポイント、2019年比に至っては19ポイント増加。一方で10代は減少率1ポイントと減少率は低い結果となった。
海に行かない理由は「家から海まで遠いから」「海に行くという発想がそもそもない」「時間がない」が多数を占めた。回答率はそれぞれ28%、24%、17%。時間、目的や意味を重視する〝タイパ〟の観点から、海に行くことに合理性が見いだせないという。
回答事項のうち、特に「海に行く発想がない」という回答を経年比較したところ、2019年は回答項目22項目中14位、2022年は9位だったが、2024年は2位にまでランクアップした。
さらに、海に行かない理由としては「日焼けをしたくない」「海に行くのは疲れる」「お金がかかる」「一緒に行く人がいない」「最近、夏が暑すぎる」という声も一定数あった。
一方で、海への訪問理由としては、「リラックスしたい」「ドライブしたい」「のんびりしたい」「海のきれいな景色が見たい」との回答が上位を占めた。それぞれ24%、21%、20%、19%。海は合理的な目的がないと足を運ばない場所であるが、「合理的な生活から抜け出すために行く場所」にもなっているという。
海に関する情報を「得ている人」と「得ていない人」との間で、海への訪問頻度に2倍の差があることも、調査で明らかとなった。海に関する情報を得ている人の64%が、1年のうち1日以上海を訪れたが、情報を得ていない人のうち、1日以上海を訪問した人は32%となった。
海洋問題の認知度、22年比で1割以上減
また、調査では、海洋問題の認知度に関しても聞いた。海洋問題の認知度は2022年比で全体的に10~15と、大幅に減少したという。
個別にみると、「海ごみの約8割は陸から流れ出ており、生活のごみを減らすことや普段からマイバックを持つことが、海ごみの削減につながっている」が2022年比15ポイントダウン。さらに、「最近の夏場の猛暑や台風の大型化などの気候変動の原因にも海の変化が大きく関わっている」、「二酸化炭素の排出は海の酸性化にも影響しており、サンゴや貝の不成長にもつながっている」がそれぞれ14ポイント減った。