福祉医療機構は2月28日、通所介護の経営状況を明らかにする調査レポートを新たに公表した。貸付先の事業所の約半数が赤字だと報告している。
昨年度の赤字事業所の割合は49.6%。前年度より3.1ポイント上昇した。福祉医療機構が貸付先の5744事業所の決算などを分析した結果として報告した。
福祉医療機構は背景について、「利用率の低下に加えて、昨今の物価高騰を受けた水道光熱費の値上がりが費用の増加を招き、経営に大きな影響を与えていた」と説明。黒字転換には利用率の上昇や各種加算の取得、費用の節減などが重要だとし、「各事業所の取り組みが今後の経営を左右する」と指摘した。
■ 認知症対応型は4割が赤字
また、福祉医療機構は認知症対応型通所介護事業所の経営状況も公表した。
こちらも昨年度は、貸付先の事業所のうち、40.6%が赤字。前年度からは3.8ポイント上昇する結果となった。データは全国549事業所の決算などをまとめたもの。
赤字の要因も通常型とほぼ同様で、福祉医療機構は「認知症対応型通所介護においても、物価高騰による水道光熱費の増加が経営に大きな影響を与えていることがうかがえる」と記載。
黒字の事業所と赤字の事業所を比較すると、収益面では赤字事業所のほうが利用率は12.5ポイント低く、登録者数は4.1人少なかった。利用者単価が同程度だが利用率が非常に低いため、定員1人当たりのサービス活動収益は54万3000円低くなっている。
次に費用面では、赤字事業所のほうが人件費率は24.0ポイントも高い。これは、サービス活動収益の違いにくわえて、従事者1人当たり人件費が39万7000円高いことが要因として挙げられている。なお、赤字事業所のほうが利用者10人当たり従事者数は1.80人多いが、これは利用率が低いためだと指摘。赤字事業所は、利用率の向上に資する取り組みを重点的に行うべきだと訴えている。