国土交通省は9日、フルラップ全面衝突時の乗員保護等に関する国際基準の改正案が国連欧州経済委員会自動車基準調和世界フォーラム(WP29)で採択されたことを踏まえ、これらの国際基準を導入した。また、これに併せて、「官民ITS構想・ロードマップ2016」で、2017円目途で実施することとされている限定地域での無人自動走行移動サービスの公道実証実験を可能とするため、安全確保を前提に、ハンドルやアクセルペダル等がない車両の行動走行が認められるよう、該当する保安基準を改正する。
保安基準等の主な改正項目をみると、車枠と車体に関する改正では、乗用定員10人以下の乗用自動車と車両総重量2.8t以下の貨物自動車(二輪自動車、側車付二輪自動車、カタピラやそりを有する軽自動車と被牽引自動車を除く)について、「フルラップ前面衝突時の乗員保護に係る協定規則第137号」」の改正に伴い、助手席乗員(女性ダミー)の胸部圧縮の基準値を42mm以下から34mm以下に強化する。
すでに四輪自動車に備付けが認められている緊急制動表示灯については、二輪自動車等の灯火器の取付けに係る協定規則第53号」と同第78号に規定された要件に適合するものを二輪自動車、側車付二輪自動車や三輪自動車と原動機付自転車に備えることができることを定めている。
走行装置に関する改正では、乗員定員9人以下の乗用自動車(二輪自動車、側車付二輪自動車、三輪自動車と被牽引自動車を除く)を対象に、形式指定時等で、自動車に装着するタイヤは「タイヤ取付けに係る協定規則(第142号)」の技術的要件(自動車に装着するタイヤは、溝や幅等に関し全て同一であること、自働車の許容最大質量以上の荷重に耐えるタイヤを備えること等)に適合しなければならないことと規定している。
制動装置については、乗員定員9人以下の乗用自動車(二輪自動車、側車付二輪自動車、三輪自動車と被牽引自動車を除く)に対し、備付けが義務付けられているブレーキアシストシステム、横滑り防止装置について、それぞれ「ブレーキアシストシステムに係る協定規則(第139号)」、「横滑り防止装置に係る協定規則(第140号)」の技術要件に適合するものを備え付けなければならないことと定めている。
ヘッドクリアランスと座席の着席に必要な空間については、自動車(二輪自動車、側車付二輪自動車、最高速度20km/h未満の自働車を除く)に対し、形式指定時等に協定規則の基準を満たしている座席とヘッドレストを備えている座席のヘッドクリアランスは、基準に適合しているものとみなすことを規定。また、協定規則の基準を満たしている座席、座席ベルト取り付け装置と座席ベルトを備えている座席の着席に必要な空間は、基準に適合しているものとみなすことを定めている。
装置型式指定規則については、特定装置の種類について、「ブレーキアシストシステム」、「横滑り防止装置」と空気入りゴムタイヤの取付装置」を追加。また、「ブレーキアシストシステム」はブレーキアシストシステムに係る協定規則に、「横滑り防止装置」は横滑り防止装置に係る協定規則に、「空気入りゴムタイヤの取付装置」はタイヤ取付けに係る協定規則に基づき認定されたものについてそれぞれ型式指定を受けたものとみなすことなどの改正を行っている。