経済産業省では、製造業を中心とした日本企業のグローバル競争力強化を目的として、マルチナショナルにビジネスを展開してきたことに伴い顕在化してきた「経営の複雑性のコントロール」という課題を解決すべく、経営・組織の仕組み化に取り組むコーポレート・トランスフォーメーション(CX)を加速させる方策を検討するため、「グローバル競争力強化に向けたCX研究会」を立ち上げ、12月11日に初会合を開催した。今後、月1回程度会合を開き、議論を重ね、令和7年度予算に強化方策を盛り込んでいく方針だ。
四半世紀にわたり、国内市場での売上が伸び悩む中で、製造業を中心とした日本経済を支える企業群にとって新興国市場の取り込みを中心としたビジネスのグローバル展開が成長戦略となってきた。
その中で、気候・言語・文化・社会など多様な市場のニーズにスピーディに対応する必要性から、海外市場獲得のアプローチも、「日本で売れたモノの輸出」から、海外への直接投資(地産地消モデル)へと変化し、その結果が経常収支における第一次所得収支の伸びとして現れている。
製造業に属する企業は資本集約的になりがちだが、海外市場へビジネス開する中で、各国ローカルの組織・設備・オペレーションを多く抱えることにより、必然的に企業規模が大きくなり、組織の複雑性が高くなる傾向にある。
また、経営の複雑性をいかにコントロールするかという命題はかねてから研究されてきた一方で、依然として日本企業のコーポレート機能の「仕組み化」は途上にあり、DXも進んでいるとは言い難いのが現状。
実際に、近年の海外売上比率の上昇に対し、利益の拡大が伴わないケースが多くみられることに加え、日本企業の海外進出のペースも鈍化している。こうした状況を打開すべく、日本市場に軸足を置いた従来までの日本的経営の在り方をグローバル展開のステージに応じてアップデートしていくことが急務となっている。
研究会においては、グローバル競争力の強化を目的として、各産業のマーケットの性質と企業における財・サービスそのものの質(コア競争力)を踏まえた上で、特に、経営・ガバナンス、組織設計、ファイナンス、人材等のコーポレート機能、そしてこれらの要素をつなぐデジタル基盤の在り方に焦点を当て、CX(コーポレート・トランスフォーメーション)に求められる方策を総合的に検討する。CX研究会委員は―
(座長)
日置圭介・re‐Designare合同会社代表
(委員)
青山朝子・日本電気(株)Corporate SVP/Deputy CFO/経理財務部門長
小野真吾・三井化学(株)グローバル人材部部長
小和瀬浩之・(株)荏原製作所執行役 情報通信統括部長/CIO
関灘 茂・A・T・カーニー(株)代表取締役
玉置 肇・パナソニックホールディング(株)執行役員/グループCIO
橋本勝則・東京都立大学大学院経営学研究科特任教授
横田貴之・(株)資生堂取締役/CFO
(事務局・オブザーバー)
伊吹英明・製造産業局長
西山英将・製造産業局総務課長
川村美穂・製造産業局製造産業戦略企画室長
片山弘士・製造産業局総務課政策企画委員
中村 智・大臣官総務課政策企画委員
長宗豊和・経済産業政策局企業会計室長