2023年11月20日 就業体験の4類型化で意識調査 学生の周知率は5割未満、リクルート調査

インターンシップをはじめとするキャリア形成支援プログラムは、昨年6月の政府による「基本的考え方」改正に伴い、取り組み内容により四つに類型化されている。(株)リクルートが行った調査によると、四つに類型化されたことについて、「知っている」と回答した学生は43.7%で、半数以上の学生に周知されていない現実が浮き彫りとなった。また、2025年卒学生の就職活動から、一定の基準を満たすインターンシップで得た学生の情報を、企業が広報活動や採用選考活動に使用できるようになったことに関しても、「知っている」と答えたのは44.3%。こちからも周知率5割未満で、学生全体に十分行き渡っていないことがわかった。

昨年6月の基本的考え方改正に伴い、キャリア支援に係る取り組みは、①オープン・カンパニー(タイプ1)、②キャリア教育(同2)、③汎用的能力・専門活用型インターンシップ(同3)、④高度専門型インターンシップ(同4)―の四つに類型化された。このうち「オープン・カンパニー」は、個社や業界に関する情報提供・PRを目的としており、企業・就業情報会社や大学キャリアセンターが主催するイベントや説明会に参加することを指す。就業体験は行わない。

「キャリア教育」は、働くことへの理解を深めるための教育で、大学等が主導する授業・産学協働プログラムや、企業がCSRとして実施するプログラムに参加するもの。就業体験は任意となる。以上、二つの取り組みは「インターンシップ」とは称さないこととなっている。

汎用型能力・専門活用型インターンシップは、就業体験を通じて、学生にとっては自らの能力を見極め、企業にとっては学生の評価材料の取得を目指すもので、適性・汎用的能力や専門を重視したプログラムが行われる。就業体験は必須で、実施期間の半分を超える日数を職場での就業体験に充てることなどが求められる。所要日数も条件に応じて5日以上や2週間以上となっている。

試行的に行われている高度専門インターンシップは、就業体験を通じて、学生にとっては実践力の向上、企業にとっては学生の評価材料の取得が目的。修士課程、博士課程学生を対象に、高度な専門性を重視したインターンシップやジョブ型インターンシップが想定されている。

四つの類型のうち、インターンシップを称することができるタイプ3と同4のキャリア教育は、取得した学生情報を採用活動へ活用することが可能となっている。

 

約4割が「タイプ3」に参加経験あり

調査では、5日以上のインターンシップ等のキャリア形成支援プログラムに参加した経験がある学生に、インターンシップ(タイプ3)への参加状況も聞いた。38.2%が参加経験ありと回答した一方、42.5%が「(自分のどの類型のキャリア教育に参加したのか)わからない」と答えた。

参加したインターンシップ(タイプ3)の内容は、商品販売や開発設計など、具体的な実務に関するコメントが目立った。また、参加してよかった点としては、大学の研究とアルバイトとの違いへの気づきや、実際の会社の雰囲気や仕事内容など職場のリアルな情報を得ることで、適性を知ることができたという声が寄せられた。リクルートでは、「タイプ3インターンシップは、実際に企業で働くイメージをよりリアルに感じられる機会となる」と分析。そのうえで、「まだ学生全体への周知が十分に進んでいるとは言い難いようすだが、今後さらに認知度が上がり、よりよい進路選択に資する機会になることを期待している」としている。


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