2023年11月6日 景気は緩やかに回復している 基調判断は据え置き 10月の月例経済報告

内閣府がまとめた10月の月例経済報告によると、個人消費や設備投資が持ち直しているとともに、公共投資が底堅く推移していることなどから、「景気は、緩やかに回復している」と基調判断を据え置いた。また、先行きについては、「雇用・所得環境が改善する下で、各種政策の効果もあって、緩やかな回復が続くことが期待される。ただし、世界的な金融引締めに伴う影響や中国経済の先行き懸念など、海外景気の下振れが我が国の景気を下押しするリスクとなっている。また、物価上昇、中東地域をめぐる情勢、金融資本市場の変動等の影響に十分注意する必要がある。」としている。

日本経済の動向についてみると、個人消費では、個別の指標について、需要側の統計をみると、「家計調査」(8月)では、実質消費支出は前月比3.9%増となった。販売側の統計をみると、「商業動態統計」(8月)では、小売業販売額は前月比0.2%増となっている。

設備投資は、持ち直している。需要側統計である「法人企業統計季報」(4~6月期調査、含むソフトウェア)でみると、2023年4~6月期は前期比1.2%減となった。業種別にみると、製造業は同1.2%増、非製造業は同2.5%減となっている。

機械設備投資の供給側統計である資本財総供給(国内向け出荷及び輸入)は、持ち直しの動きがみられる。ソフトウェア投資は、増加している。

住宅建設は、このところ弱含んでいる。持家及び貸家の着工は、このところ横ばいとなっている。分譲住宅の着工は、このところ弱含んでいる。総戸数は、8月は前月比4.5%増の年率81.2万戸となった。

公共投資は、底堅く推移している。8月の公共工事出来高は前月比0.4%減、9月の公共工事請負金額は同8.5%増、8月の公共工事受注額は同2.4%減となっている。

鉱工業生産は、持ち直しの兆しがみられる。鉱工業生産指数は、8月は前月比0.7%減となった。鉱工業在庫指数は、8月は前月比1.7%減となっている。また、製造工業生産予測調査によると9月は同5.8%増、10月は同3.8%増となることが見込まれている。

企業の業況判断は、総じてみれば緩やかに改善している。「日銀短観」(9月調査)によると、「最近」の業況は、「全規模全産業」で上昇した。12月時点の業況を示す「先行き」は、「最近」に比べやや慎重な見方となっている。

雇用情勢は、改善の動きがみられる。完全失業率は、8月は前月から横ばいの2.7%であった。労働力人口、就業者数及び完全失業者数は増加した。


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