約18%の学校教員が勤務時間外に4時間以上働いていることが、多くの学校教員らが加盟している全日本教職員連盟(全日教連)が行った令和5年度教職員勤務環境実態・意識調査で明らかになった。労働時間は過労死レベルにあるといえ、依然として2割にものぼる教員が厳しい環境で教職活動を行っているという。業務を持ち帰り、帰宅後や土・日曜日に自宅で仕事をこなす教員も多数存在。全日教連では、こうした実態は〝隠れた時間外勤務時間〟と問題視しており、業務改善の取り組みを進める必要性をあらためて強調した。
全日教連が今年6月30日から8月31日まで行ったインターネットを利用して行った調査によると、平日勤務時間外に学校で仕事をした時間が1日平均2時間以上の割合は77.6%で、業務改善が進んでいない傾向が明らかとなった。さらに勤務時間外に「4時間以上」勤務した教員は18.8%。1か月平均に換算すると、過労死レベルにあるとされる月80時間以上であることからも、大いに憂慮すべき事態となっている。文科省調査では、「平日・土日共にすべての職種で在校等時間が減少」したとあるが、依然、長時間勤務が解消されたとはとても言えないのが現状で、今後さらに働き方改革を推進する必要があることが示された。
土日の部活後に持ち帰り業務
また、平日1週間の持ち帰る業務の総時間数に関しても聞いたところ、56%が「30分以上」と回答した。保育園や学童に預けている子どものお迎えといった家庭の事業によるもの。また、勤務の上限規制を守るため、管理職から退職を促されるなどにより、家庭に業務を持ち帰っている教職員が多い。
特に、2時間を超えた持ち帰り業務を行っている割合が12.8%にものぼっている。文科省の調査でも、平日1週間の持ち帰り業務は、平均で小学校が185分、中学校が160分となっており、同様の調査結果となった。
文科省調査の持ち帰り業務時間を業務時間に加えて換算すると、平均値が小学校82時間、中学校101時間。過労死ラインを大幅に超える値となっており、あらためて厳しい勤務環境の教師がいることが浮き彫りとなった。
土曜日の持ち帰り業務時間は、「30分以上」と回答した割合が平日よりも多い結果となった。平日では処理しきれなかった事務仕事などに追われていると推測されるが、部活動を指導している教師に関しては、「指導や大会引率等後に持ち帰り業務を行っている」との声も届いているという。
日曜日の持ち帰り業務時間は、土曜日や平日と比較して「30分未満」の割合が54・8%と多くなっているものの、持ち帰り業務を行っている実態は依然としてみられる。連盟では「持ち帰り業務は〝隠れた時間外勤務時間〟」と指摘。潜在化することがないよう、業務改善の取り組みを進める必要性を強調している。
勤務間インターバル、3割以上が確保されず
「勤務間インターバル」に関しても、実態調査を行った。勤務時間一定時間以上の「休息時間」を設けることで、生活時間や勤務時間を確保するもの。平成30年成立の働き方改革関連法で規定された。人事院研究会が「11時間の確保」を求めているが、調査によると、週の半分以上勤務時間11時間が確保できていないとの回答は、35%を占めた。
勤務間インターバルを確保できない場合、健康に深刻なダメージを与えることが、医学的知見により明らかにされているが、現在は努力義務となっている。全日教連では、厳しい現状を踏まえて、一国も早い導入を求めていく方針だ。