経済産業省は「東京GXウィーク」及び「Japan Weeks」の一環として、「GGX×TCFDサミット2023」を開催した。この会合は、世界のグリーン・トランスフォーメーション(GX)について議論する「国際GX会合(GGX)」とTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)の低減について世界的に取り組む世界の企業や金融機関等のリーダーを集めた「TCFDサミット」の両イベントを統合したもの。世界のグリーン・トランスフォーメーション(GX)の実現、気候関連情報開示の在り方、トランジション・ファイナンスの推進についてた。
開催挨拶では経済産業省畠山産業技術環境局長から日本のGXについて説明があり、日本経済団体連合会十倉会長からビデオメッセージ、全国銀行協会加藤会長、PRIのアトキンCEOからスピーチがあった。
セッション1「産業の脱炭素化に向けて」では、冒頭にベネデッティ駐日イタリア大使から来年のG7イタリア開催にむけて日本の成果を引き継いでいく旨スピーチがあり、パネルディスカッションではグリーン需要の需要喚起の重要性とグリーン調達に関するイニシアティブの動向、鉄鋼・化学分野での排出削減の取組、データに基づく産業の脱炭素化の重要性について議論が行われた。
セッション2「企業の「課題解決力」と「削減貢献量」」では、企業の社会全体の排出削減への貢献を評価し、ポジティブな気候行動を促す仕組として、削減貢献量の開示を普及させ、金融機関での企業評価に活用していくための方策について議論した。
セッション3「気候関連情報開示の今後」では、ISSBエマニュエル・ファベール議長、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)宮園理事長、グッドスチュワードパートナーズ合同会社水野代表社員から挨拶があり、気候変動関連情報開示が進む日本の状況への歓迎と今後のリーダーシップへの期待が示された。その後のパネルディスカッションでは、トランジション・ファイナンスを推進するためには企業による移行計画策定・開示の推進に加え、金融機関のファイナンスド・エミッション開示に関する工夫の必要性について議論が行われ、同日に公開された「官民でトランジション・ファイナンスを推進するためのファイナンスド・エミッションに関するサブワーキング」によるとりまとめ文書が歓迎された。
セッション4「トランジション・ファイナンスの今後の展望」では、TCFDメアリー・シャピロ事務局長及び伊藤邦雄一橋大学教授・TCFDコンソーシアム会長から挨拶があり、トランジション・ファイナンスの拡大に向けて必要となる気候変動関連情報開示の量・質の向上、官民連携の必要性が語られた。パネルディスカッションでは、排出削減が困難な産業分野の脱炭素化が重要であることを認識し、それを実現するトランジション・ファイナンスの更なる推進に必要な環境整備に関する議論が行われた。
最後にWBCSDのバッカーCEOから2019年以降気候変動分野における日本の政策、金融、企業が大きく前進しており、GGXとTCFDサミットを統合させることで更なる成果を生むという閉会挨拶があった。