マイナンバーカードを巡るトラブルに関して、若者の6割以上が政府の対応を不適切と考えていることが、日本財団の意識調査で明らかとなった。個人情報の管理体制でも、4割以上がどの組織も信頼できないと回答した。一方で、政府発表の7割を上回る8割の若者がマイナカードを保有。学生証としての利用などを期待していることもわかった。
調査は18歳から19歳のハイティーン1000人を対象にインターネットを利用して行われた。
ここ数年、全国の自治体で引っ越しの手続きのオンライン化やマイナンバーカードの普及といった行政手続きのデジタル化に向けた取り組みが行われているなか、行政手続きのデジタル化は、全体で6割以上が「進めるべき」と回答。性別では、男性は3割近くが「大幅に進めるべき」と答えた。女性で「大幅に進めるべき」としたのは、13.8%で、男女で差がみられた。
マイナンバーカードに関しては、全体で78.5%と、8割近くが「持っている」または「交付申請中」と回答。この結果は政府が発表している全人口に対する保有枚数率(約70.0%)よりも高かった。
マイナカード保有者が、同カードを取得した理由としては、マイナポイントがもらえることと、身分証明書として利用できることが多く挙げられた。回答率はそれぞれ64.1%、49.2%。
マイナカードを取得してよかった点としては、取得理由と同じく、マイナポイントがもらえたことを最多の56.7%があげた。また、38.1%が身分証明書として利用できたことをメリットとして答えるとともに、住民票の写しなど公的な証明書をコンビニで取得できたことを14.0%が「よかった点」とした。
マイナカード保有者のうち、全体の4割弱が今後も同カードを保有する意向だが、それよりも多い4割弱が「状況により返納する可能性がある」と答えている。
マイナカードを取得していない人に理由を聞いたところ、約4割が「安全性や個人情報の取り扱いに不安がある」ことをあげた。また、「手続きが面倒」(34.14%)、「取得しても自身の生活に支障がない」(37.5%)、「取得するメリットが感じられない」(23.9%)との声も寄せられた。
政府による今後のマイナカードの普及促進策に関しては、入念な準備派と普及促進優先派、その他の三者が拮抗している。入念な準備派は、「一度停止して、システム改修などの準備に専念すべき」と回答した者で、全体の30.5%を占める。「トラブルは生じうるので、引き続き普及促進すべき」という普及促進優先派は28.0%で、「わからない」と答えた若者は全体の25%にのぼった。「そもそも廃止すべきだ」は4.3%、「国民全員に強制的に付与すべき」は5.5%。
マイナカードと一体化した保険証に別人の情報が登録されているなど、昨今のマイナカードを巡るトラブルについては、全体の7割以上が「知っていた」と回答した。さらに、トラブルへの日本政府の対応に関しては、「不適切である」との回答が全体の6割近くを占め、合計で18.1%となった「適切である」「どちらかといえる適切である」との答えを大きく上回った。
サイバーセキュリティ対策・個人情報の管理体制に関しては、「いずれの組織も信頼できると感じない」との回答が40.3%で最多。日本政府(17.8%)、地方自治体・公共団体(16.3%)よりも、医療機関(28.0%)や金融機関(26.2%)などの民間企業のほうが、信頼できる組織として多くの人に選ばれた。
今後マイナカードに期待することとしては、「学生証としての利用」「スマホ全機種への搭載」「運転免許証としての利用」の順に多く選ばれた。一方で、「特に期待することはない」との回答も全体で3割以上にのぼった。