2016年4月6日 ケアマネの「集中減算」見直しを 検査院「合理的で有効とは言えない」

居宅介護支援事業所の「特定事業所集中減算」について、会計検査院が見直しを求める報告を国会に提出した。

 

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個々のケアプランを分析した結果を示し、減算を受けない範囲で同じ法人のサービスを優先して選ぶところが少なくないと指摘。減収を回避したいために事業所を変える例があることにも触れ、「目的の達成に向けて必ずしも合理的で有効な施策とは考えられず、むしろ一部で弊害を生じさせる要因になっている」と問題を提起した。

ケアマネ事業所の「特定事業所集中減算」は、ケアマネジメントの公平性・中立性を高める仕組みとして導入されたもの。正当な理由が無いにもかかわらず、ひとつの事業所が提供するサービスを多くプランに盛り込んでいると対象になり、各ケースの報酬を月200単位減らされてしまう。厚生労働省は昨年4月、判断の基準となる事業所の偏りの割合(集中割合)を90%から80%へ引き下げるなど、いわゆる「囲い込み」を防ぐ機能を強化する見直しを行っていた。

■「ケアマネジメントの趣旨に反する」

会計検査院は今回、この「特定事業所集中減算」の効果を把握するための調査を実施。21都県にある2230ヵ所のケアマネ事業所を抽出し、2013年8月までの半年間につくられたプランをチェックした。

それによると、最も高い集中割合が「70%超90%以下」だったところは912事業所(40.9%)。このうち、同じグループで提供しているサービスを最も多くプランに位置づけていたところは、88.0%の803事業所(全体の36.0%)となっていた。会計検査院は報告のなかで、「厚労省が期待できるとした牽制効果は十分に生じていない」と断じている。

調査ではこのほか、最も高い集中割合が「80%超90%以下」だったところ(306事業所)に対して、減収を避ける目的で意図的に集中割合を下げたことがあるか質問。回答した216事業所のうち、35.1%の76事業所が「ある」と答えたという。さらに、昨年4月の介護報酬改定で実行されたルールの厳格化に合わせる形で、そうした調整を行っているところが多いとも指摘。「集中割合を調整しようとすれば、必ずしも利用者本位のプランが作られていないことになる。ケアマネジメントのそもそもの趣旨に反する」と疑問を投げかけた。

報告では加えて、「個々の利用者の人格を尊重し、利用者の立場に立ってプランを作成した結果として、集中割合が高くなることもある。ケアマネジメントの公正・中立を確保する効果が、特定事業所集中減算に本当にあるのか」とのケアマネの意見も紹介。厚労省に対し、「これらを十分に検証・検討すること」と要請した。厚労省の担当者は、「検査院の指摘も踏まえ、より良い方策をめぐる議論を深めていく」と話している。


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