総務省の地方財政審議会は、「活力ある多様な地域社会を実現するための地方財政改革についての意見」を取りまとめ、5月25日に総務大臣に提出した。この中で、地方税財政改革の方向として、一般財源総額の確保等、地方財政の健全化に資する取組等をあげ、このうち、一般財源総額の確保等では、社会保障関係費の増加をはじめとする財政需要を適切に地方財政計画に計上し、一般財源総額を安定的に確保することなどを求めた。
地方財政審議会の意見では、「どのような地域であっても、どの時代に生まれても、住民の安心と安全、満足度を高めて、幸せをもたらし、活力ある多様な地域」を掲げた。
また、目指すべき地方財政のあり方として、持続可能な地方税財政基盤の構築、地方財政の健全化をあげた。
このうち、持続可能な地方税財政基盤の構築では、自由に使える一般財源総額の確保、偏在性が小さく税収が安定的な地方税体系、地方交付税の機能の適切な発揮を目指す。
地方財政の健全化では、臨時財政対策債に依存せず、巨額の債務に圧迫されない姿を目指すことにより、歳入面では地域経済の立て直しによる自主財源の増加を、歳出面では国の取組と基調を合わせた歳出改革を行う。
物価高と感染症への対応については、原材料価格の上昇等によって価格上昇が続く中、地方自治体は、物価高騰対策や生活困窮者等への支援等に積極的に取り組むことが期待される。
その一方で、新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置づけが5類感染症へ移行したところであるが、引き続き、地方の意見を十分踏まえ、必要な財政支援を迅速かつ丁寧に行うとともに、次の感染症危機対応においても、適切に対応するよう求めた。
地方税財政改革の方向としては、一般財源総額の確保等、地方財政の健全化に資する取組等をあげている。
このうち、一般財源総額の確保等では、社会保障関係費の増加をはじめとする財政需要を適切に地方財政計画に計上し、一般財源総額を安定的に確保することを求めた。
また、地方財政の健全化のため、財源不足の縮小に努め、臨時財政対策債の発行縮小に取り組むとともに、地方交付税総額を安定的に確保することとしている。
さらに、会計年度任用職員への勤勉手当の支給を可能とする制度改正を踏まえ、必要な財源を確保することを求めた。
地方財政の健全化に資する取組等では、財政状況資料集の充実、地方公会計の一層の活用などにより地方財政の「見える化」を推進するよう求めた。公共施設等の適正管理の取組を後押しすることとしている。
さらに、経営戦略に基づく経営改革、公営企業会計適用拡大等を推進するとともに、アドバイザー派遣や優良事例の横展開により経営・財務マネジメントを強化する。
また、水道・下水道事業について、広域化計画に基づく取組を進めることが必要とした。公立病院については、令和5年度中に公立病院経営強化プランを策定する。
活力ある多様な地域社会に向けた取組として、こども・子育て政策の強化、デジタル田園都市国家構想(地域におけるDXの推進)、地域におけるGXの推進、防災・減災、国土強靭化、人への投資等をあげた。
このうち、こども・子育て政策の強化では、検討にあたっては、地方の役割が大きい分野であることから、地方の意見を十分踏まえつつ、地方負担分について所要の財源を安定的に確保するよう求めた。その際、独自の取組などについても、地方の意見を十分に踏まえながら、所要の財源を確保する必要がある。
デジタル田園都市国家構想(地域におけるDXの推進)では、地域の実情に応じ、地方創生や地域が抱える課題のデジタル実装を通じた解決に取り組めるよう、地方財政措置を講じることとしている。また、マイナンバーカードの普及と利活用促進を着実に進めていくとともに、自治体行政・地域社会におけるDXを推進するよう求めた。
地域におけるGXの推進では、地域におけるGXの取組を着実に進められるよう、適切に財源を確保する。
防災・減災、国土強靭化では、緊急防災・減災事業債、緊急自然災害防止対策事業債等により適切に財政措置を行う。
人への投資等では、地方自治体によるリスキリングの推進やデジタル人材の確保・育成を適切に支援する必要がある。