医師の働き方改革を進めるため、来年4月から医師に対して労働基準法等に基づく、休日・時間外労働時間の上限が適用されることになる。文部科学省では、全国81大学病院で医療業務に従事する医師の勤務状態に関する調査結果を4月18日に公表した。令和6年度から勤務医の残業と休日労働のいわゆる時間外労働時間は原則年960時間とされるが、現状のままだと、1万5070人が上限を超えて働くことになると推測。また、地域医療を確保するために、一部の医師が例外的に1860時間までを上限に時間外労働を行うことができるが、14人はこの特例上限を上回る時間外労働を実施していることもわかった。
さらに、労働時間短縮により予想される教育・研究への影響としては、9割以上の大学が「研究時間の確保ができなくなり、研究成果が減少する」と回答。約9割の大学が「臨床実習で必要な時間の確保ができなくなり、臨床教育の質の低下が生じる」ことを心配している。
医師の働き方改革のため、業務のタスクシフト/シェアが求められているが、特定行為研修修了看護師の配置状況をみると、32大学が「術中麻酔管理領域パッケージ修了者」を1名以上置いている。
医師事務作業補助者の業務内容は、各種書類の記載が77大学、診療録等の代行入力が65大学。入院時のオリエンテーションは11大学、院内での患者移送等は12大学、医師による診察前に病歴等を聴取は24大学となっている。
設備・インフラ環境の整備状況としては、「教育用教材開発のための設備等整備」、「シミュレーションの施設・設備」を不十分としたのはそれぞれ57.0%、58.8%。
研修医の研究時間は「0時間」
週当たりの研究業務時間は、教授が「6時間~10時間」、准教授が「1時間~5時間」との回答が最多であったのに対し、医員、専攻医・後期研修医、臨床研修医は「0時間」との回答が最も多かった。特に、専攻医、臨床研修医の「0時間」回答率は72.3%、86.9%にのぼった。