外国人材を受け入れる仕組みのあり方を検討している政府の有識者会議は10日、現行の技能実習制度を廃止して新たな制度を創設するよう求める中間報告書のたたき台を公表した。
介護分野でも技能実習生を受け入れている施設・事業所は多い。そう遠くない将来、事業者は制度変更への対応を迫られる見通しとなった。
有識者会議はたたき台で技能実習制度について、国際貢献などの目的と実態が乖離していると指摘。「技能実習制度を廃止し、人材確保と人材育成を目的とする新たな制度の創設を検討すべき」と要請した。
今秋を目処に最終報告書をまとめる。政府は今後、外国人材の主要な受け入れ策の大きな転換を進めていくことになる。
日本経済新聞は10日、「正式な変更は2024年以降になる」と報じた。読売新聞は同じく10日、「早ければ来年の通常国会に関連法案を提出する」と伝えた。
有識者会議は今回のたたき台で新たな制度について、
○ 人材育成機能は維持するが、人材確保も目的に加えて実態に即したものとすること
○ 職種は特定技能の分野にそろえ、外国人がキャリアアップしつつ日本で修得した技能を更に活かせるようにすること
○ 日本語能力が段階的に向上する仕組みを設けること
○ 監理団体や登録支援機関は存続した上で要件を厳格化するなどして監理・支援能力の向上を図ること
○ 外国人技能実習機構は存続した上で体制を整備して管理・支援能力の向上を図ること
○ 悪質な送出機関の排除等に向けた実効的な二国間取決めなどの取組を強化すること
○人手不足状況の確認や受入れ見込数等の設定は、様々な関係者の意見やエビデンスを踏まえつつ判断がされる仕組みとするなどの措置を講ずることでプロセスの透明化を図ること
‐などを提言。人権侵害が生じる要因と言われる「転籍(働く企業の変更)」の制限にも触れ、従来より緩和すべきと主張した。