2023年4月24日 子どものワクチン接種率、コロナ禍で低下 パンデミックによる誤情報が影響か ユニセフ 日本は国民のワクチン信頼度の低さも

国連児童基金(ユニセフ)は20日、新型コロナウイルス感染症の流行以降、多くの国で「子どもがワクチン接種を受けることを重要」と考える人の割合が低下したとする調査結果を公表した。ユニセフ事務局長のキャサリン・ラッセル氏は、「あらゆる種類のワクチンに対する恐怖と偽情報が、ウイルスそのものと同じくらい広く流布した。このままでは、多くの子どもたちがはしかやジフテリアなどの予防可能な感染症にかかり、次々と亡くなっていくのを目の当たりにすることになる可能性がある」と警鐘を鳴らしている。

調査では対象となった55ヵ国のうち、52ヵ国で子どもへの接種を重要と考える人の割合が低下していた。割合をみると、日本のほか、韓国、パプアニューギニア、ガーナ、セネガルの5ヵ国では3分の1以上と大きな落ち込みを示していた。逆に重要という認識を持つ人の割合が変わらない、もしくは増加したのは、中国、インド、メキシコのわずか3ヵ国にとどまっている。

日本の減少率が欧米と比べて大きかった点について、小児医学研究振興財団評議員会会長の別所文雄氏(元日本小児科学会会長)は、「予防接種躊躇の欧米での主な理由は偽情報によるものであるといわれるのに対して、日本での理由は些か異なる。日本は、国民のワクチン信頼度が調査対象149ヵ国中で最も低い」と指摘。

このほか、「ワクチン行政も従前から危機回避を主眼とした消極的側面が強い。米国などでは児童が集団生活を始めるに当たって、ワクチン接種の実質義務化がなされているのに対して、日本では勧奨にとどめられている」と述べつつ、

・ワクチン開発が遅れがちなこと
・多くのワクチンが単一ワクチンとしてしか利用できず、複数のワクチンの同時接種も認められないこと
・WHOが接種を推奨しているワクチンが国内では公的な定期接種になっていない(そもそも国内に導入されてもいない)こと

‐といった「ワクチンギャップ」の状態が長く続いている現状を問題視した。

そのうえで、少数の確信犯的な予防接種拒否者を除き、躊躇している大多数の説得には、「WHOが示す3Csモデル、すなわち「予防接種で防げる病気に罹患するはずがないと信じる根拠のない安心感(COMPLACENCY)」「物理的・金銭的などの理由で予防接種が受けられない・受けにくい状況(Convenience)」「予防接種に対する信頼度の低さ(Confidence)」に基づいたワクチン行政の見直しを加速させることが必要だ」と訴えた。


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