京都大大学院医学研究科とカリフォルニア大学の研究グループは3月30日、1日8000歩以上のウォーキングを週1日~2日のペースで続けることが、死亡リスクの低下につながるという研究結果を公表した。週1日~2日歩く人の低下率は、3日以上歩く人とほぼ同じだったという。研究結果は、29日付の国際学術誌「JAMA Network Open」に掲載されている。
歩数は、身体活動量を簡単に測れる有効な測定方法の一つだ。心血管疾患や認知症などの健康上の結果との関連性が調査され、近年の研究では、1日あたり8000歩が死亡リスクを低下させる目安といわれている。だが、毎日8000歩以上歩くのは現実的でない人も多い。さらに、目標の歩数を達成する頻度についてはこれまで、明確なエビデンスが無かった。
そんな中、今回の研究では、筆頭著者の井上氏が外来で患者から。「先生、たくさん歩く必要があることはわかりました。でも忙しくて平日はそんなに歩くことができません。週末にためて歩いても問題ないでしょうか?」と聞かれたことがきっかけだという。
研究チームは、米国の国民健康栄養調査に登録されている、20歳以上の男女3101人(平均年齢:50.5歳)を対象に調査を実施。その結果、1週間に8000歩以上歩く日数が多い人ほど、全ての死因と心血管疾患の死亡リスクが低いことがわかった。
具体的には週に1日も8000歩以上歩かない人に比べて、1日~2日歩いている人は全死亡率が14.9%、3日以上歩いている人は16.5%低かった。同様に心血管死亡率は、1日~2日歩いている人は歩いていない人に比べて8.0%、3日以上歩いている人は8.4%低くなっている。
特筆するべきは、1日~2日歩いている人と3日以上歩いている人のリスク低下の幅がほぼ同じだったことだ。加えて、1日の目標歩数を6000歩から1万歩に変化させても同様の結果が得られた。これらは、定期的な運動が難しい人でも、1週間に1日~2日程度8000歩以上歩けば、健康にとって有意義な影響をもたらすことを示唆している。