2023年4月7日 日本初となるレアアース権益を獲得 経産省、中国以外のサプライソース確保支援

経済産業省が所管する独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構(本部:東京都港区、細野哲弘理事長)と双日(株)(本社:東京都千代田区、藤本昌義代表取締役社長)は、2011年に共同で設立した日豪レアアース(株)(本社:オランダ・アムステルダム)を通じ、Lynas Rare Earths Limited(ライナス社、本社:豪州・パース、代表者:アマンダ・ラカーズ)が行う重希土類の生産等に関して出資を行うことになり、日本向けに供給する契約を締結した。

経産省では、金属鉱物資源の権益獲得等に資する事業に対して、これまで出資による支援を行っているが、重希土類を対象とした支援は初めて。

金属鉱物資源の探鉱・開発は、資源獲得に不確実性があること、生産に至るまでのリードタイムが長いこと、必要な資金が多額であることといった大きなリスクを伴う。企業のリスクの一部を負担するため、企業が関与する金属鉱物資源の探鉱・開発を出資により支援している。

エネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)と双日)は、2023年3月7日、2011年に共同で設立した日豪レアアース(株)(JARE)を通じ、ライナス社への総額200百万豪ドル相当の追加出資を決定した。出資による資金は、ライナス社が掲げる中期成長計画の実行に充当され、軽希土類の増産や重希土類の分離開始などが計画に含まれている。JOGMECと双日は、出資に伴い、ライナス社が生産するマウント・ウェルド鉱山由来の重希土類であるジスプロシウム及びテルビウムの最大65%を日本向けに供給する契約をライナス社と締結した。これは国内需要の3割程度に相当するもの。

重希土類の権益獲得等に資する事業への出資支援は初めて。日本企業が参画する鉱山からの重希土類一貫生産プロジェクトにおける初の日本向け供給契約となる。

ライナス社は豪州のマウント・ウェルド鉱山でレアアース鉱石を採掘しており、現在日本へ供給される軽希土類は、モーター用磁石の主原料として使用されている。脱炭素化の実現に向け、磁石は今後も需要の拡大が見込まれており、軽希土類の長期に渡る安定供給のため、ライナス社は生産能力の拡大を行う。

さらに、ライナス社は、磁石に耐熱性を付与する重希土類のジスプロシウム及びテルビウムの生産を開始する。現在、これらを生産しているのは中国のみだが、今回の出資により中国以外のサプライソースが加わることで、日本へのジスプロシウム及びテルビウムの安定供給に寄与する。

 


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