経済産業省は14日の「産業構造審議会」の部会で、働きながら家族らの介護を担う「ビジネスケアラー」が2030年までに約318万人にのぼる、との試算を新たに公表した。
いわゆる「介護離職」に追い込まれる人が増えることなどにより、9兆1792億円の経済損失が生じると見込んだ。
こうした課題の解決には、介護ニーズの新たな受け皿の整備や介護保険外サービスの活用が必要と提言。介護現場の生産性向上や企業の支援体制の強化なども進めるべきとした。
経産省は審議会で、「ビジネスケアラーは増加傾向。介護に起因した労働総量や生産性の減少が日本の労働損失に有する影響は甚大」と問題を提起。仕事と介護の両立に向けた課題として、職場・上司の無理解や初動支援の手薄さ、介護保険サービスのカバー範囲の狭さなどをあげ、「現状では従業員個人だけで対応するのは困難」と指摘した。
現行の介護保険制度については、特に人材の確保や財政などの面で課題を抱えていると説明。介護保険を補完する市場の創出やサービスの持続的な提供体制の構築などが重要と訴えた。