2023年3月27日 がんの5年生存率、全部位で66.2% 10年生存率は53.3% ネット・サバイバルで初集計(国がん)

国立がん研究センターは16日、2014年~2015年に診断されたがん患者の5年生存率が、全がんで66.2%だったと公表した。2010年に診断された人の10年生存率は53.3%となっている。どちらも分析には、がん診療連携拠点病院などから寄せられた院内がん登録情報を使用。今回の調査では初めて、期待生存率を算出することなく純粋に「がんのみが死因となる状況」を仮定して計算する純生存率(=ネット・サバイバル)による集計を行っている。

5年生存率では、2014年と2015年に診断されたケースのうち、〝全がんの生存状況把握割合が90%以上〟といった条件をクリアした447施設の94万2717例を集計・分析した。性別で見た場合、男性は62.8%、女性は70.8%で、女性のほうがやや高い傾向を示している。部位別でみると、胃がんは70.2%、大腸がんは70.9%、前立腺がんは95.1%、非小細胞肺がんは47.5%、女性の乳がんは91.6%、子宮頸がんは74.4%、卵巣がんは64.5%、すい臓がんは12.7%だった。

一方、10年生存率では、316施設の34万1335例を使用。こちらは10年という期間の経過をみるため、がんによっては年齢階級別の実測生存率(※)とネット・サバイバルに大きな差がみられた。これは年齢が高くなるほど、がん以外の原因で亡くなる確率が高くなることが影響していると考えられている。

さらに、これまで治癒の目安としては、5年生存率が用いられることが多かったものの、乳がん(女性)のⅢ期や前立腺がんのⅢ期、甲状腺がん(乳頭濾胞癌)のⅣ期など、がん種や病期によっては5年以降も長期的にフォローアップする必要があることがわかった。

なお、がんセンターは、「院内がん登録開始初期(2007年開始)のデータであるため、登録精度に課題はあるが、今後データが蓄積されることで、より詳細な集計ができるようになることが期待できる」とこれからの道筋について語っている。

 

(※)実測生存率

死因に関係なく、全ての死亡を計算に含めた生存率で、診断例に対する何年後の生存患者の割合で示される。計算方法は複数存在するが、Kaplan-Meier法による実測生存率であることが多く、本報告においてもKaplan-Meier法を用いて実測生存率を算出している。


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