国土交通省が22日に発表した令和5年地価公示によると、昨年1月1日以降1年間の地価の変動率について全国平均では、全用途平均で1.6%、住宅地が1.4%、商業地が1.8%となり、いずれも2年連続の上昇となったことがわかった。新型コロナの影響で弱含んでいた地価は、ウィズコロナの下で、景気が緩やかに持ち直している中、地域や用途などにより差があるものの、都市部を中心に上昇が継続するとともに、地方部においても上昇範囲が広がるなど、コロナ前への回復傾向が顕著となっている。
三大都市圏の地価動向についてみると、全体で全用途平均2.1%、住宅地1.7%、商業地2.9%と2年連続で上昇した。
全用途平均では、東京圏2.4%、大阪圏が1.2%、名古屋圏が2.6%となり、いずれも2年連続の上昇となっている。
住宅地では、東京圏が2.1%、大阪圏が0.7%、名古屋圏が2.3%となり、いずれも2年連続の上昇となった。
商業地では、東京圏が3.0%、名古屋圏が3.4と2年連続の上昇となり、大阪圏は2.3%と前年の横ばいから上昇に転じた。
地方圏の地価動向について、全体では、全用途平均で1.2%、住宅地で1.2%、商業地で1.0%となり、いずれも2年連続の上昇であった。
地方四市(札幌市、仙台市、広島市と福岡市)では、全用途平均で8.5%、住宅地で8.6%、商業地で8.1%となり、いずれも上昇を継続し上昇率が拡大した。
地方四市を除くその他の地域では、全用途平均で0.4%、住宅地で0.4%、商業地で0.1%といずれも2年連続の下落から上昇に転じた。
令和5年地価公示の特徴として、新型コロナの影響で弱含んでいた地価は、ウィズコロナの下で、景気が緩やかに持ち直している中、地域や用途などにより差があるものの、都市部を中心に上昇が継続するとともに、地方部においても上昇範囲が広がるなど、コロナ前への回復傾向が顕著となった。
住宅地では、都市中心部や生活利便性に優れた地域では、低金利環境の継続、住宅取得支援施策等による需要の下支え効果もあり、住宅需要は堅調であり、地価上昇が継続している。
生活スタイルの変化による需要者のニーズの多様化により、郊外部にも上昇範囲が拡大している。
地方四市は上昇率が拡大しており、また、四市の中心部の地価上昇に伴い需要が波及した周辺の市町では、高い上昇率を見せている。
商業地では、都市部を中心に、店舗需要は回復傾向にあり、また、堅調なオフィス需要やマンション用地需要等から地価の回復傾向がより進んでいる。
三大都市圏や地方四市等の再開発事業等が進展している地域では、利便性・繁華性向上への期待感から地価上昇が継続している。
国内来訪客が戻りつつある観光地や、人流が回復しつつある繁華街では、店舗等の需要の回復が見られており、多くの地域で地価は回復傾向にある。