介護施設・事業所が何らかの問題で自治体から指定の取り消し、または効力停止の処分を受けたケースが、昨年度(2021年度)の1年間で105件あったことが分かった。厚生労働省が最新の調査結果を13日までに公式サイトで公表した。
109件だった前年度から4件減少。過去10年で最も低い水準にとどまった。
厚労省の介護保険指導室は、「自治体の運営指導(実地指導)などは前年度から増加したものの、新型コロナウイルスの影響も依然としてあり処分件数は少ない傾向」との見方を示した。
調査結果によると、指定の取り消し、または効力停止の処分を受けた施設・事業所の74.3%は営利法人。社会福祉法人は19.0%で、医療法人とNPO法人はともに2.9%だった。
指定取り消しの主な理由(重複あり)をみると、介護報酬の不正請求が28.0%(対前年度比0.8ポイント増)で最多。このほか、虚偽申請が16.0%(同6.4ポイント増)、法令違反が15.0%(同1.7ポイント減)、人員基準違反が14.0%(同5.1ポイント増)となっている。
効力停止の主な理由(重複あり)では、不正請求が27.0%(対前年度比2.1ポイント減)、法令違反が21.3%(同2.0ポイント減)、人格尊重義務違反が15.7%(同5.2ポイント増)、運営基準違反が12.4%(同0.8ポイント増)などとなっている。
厚労省は、「不正請求などは利用者に著しい不利益を与えるだけでなく、制度全体の信頼を損なわせるもの」と説明。全国の自治体に対し、「不正などが疑われる際は監査を実施し、行政処分に値する場合は厳正な対応を」と呼びかけている。