お茶の水女子大学と三井不動産㈱、産学連携の推進に関する包括的連携協力に係る協定を2月9日に締結した。「女性の起業・副業」をテーマにした共同研究などを展開。潜在的な女性起業家の存在を調査し、ニーズを把握するとともに、国内外の女性起業の支援策に関する調査などを行う予定。
昨年4月、お茶大が性差に着目した研究を行う拠点「ジェンダード・イノベーション研究所」を設立したことを契機に、お茶大と三井不動産はジェンダード・イノベーションの概念に基づいた社会課題解決の取り組みについて検討してきた。
今回の協定締結によって、双方の持つリソースを活かした取り組みを加速させ、共同研究や人材育成、社会発信で共に連携・協力。働きたい女性が個性と能力を十分に発揮できる社会の実現(女性活躍推進)に貢献することを目指す。
ジェンダード・イノベーションは、性差(セックスとジェンダー)を考慮して研究を行うことでイノベーションを創出し社会実装へつなげようという概念。これまで見過ごされてきた生物学的及び社会学的性別の性差を考慮した研究から得られる成果に基づき、未来社会に適合した生活者向けの製品やサービスの開発と提供が可能になることが期待されている。
協定の取り組みの一環として、女性の起業・副業をテーマに共同研究を実施する。2018年に厚生労働省がガイドラインを策定した副業推進の動きに伴い、副業を認める企業が増えています。また、女性活躍推進の一環として、女性の起業への支援も重要になっている。個人の起業家や副業起業をサポートするサービスが増えつつあるが、男性が起業する事業を想定して作られた支援策が女性にはミスマッチなものが多く、現状は女性の起業機会の一部が失われているといわれている。
女性による起業は、家事や育児といった身近な問題を解決するライフスタイルビジネスを創造するケースが多いという特徴がある。一般的に、一つひとつのビジネスの規模は小さいものの、結婚や育児といったライフイベントをきっかけに仕事を離れたり、身近な課題に着目するようになった女性たちが起業によって社会とかかわり続けたいと考えるニーズは多く、彼女たちが生活者視点からの新たなビジネスを創造することは、内需を拡大し、経済や社会に大きな影響を及ぼすことが期待される。