慶應義塾大学三田キャンパス東別館にある「慶應義塾ミュージアム・コモンズ」で、展覧会『構築される「遺跡」:KeMCo 建設で発掘したもの・しなかったもの』が3月6日㈪から4月27日㈭まで開催される。入場無料。①高坏形土器(弥生時代後期・2~3世紀):東海西部の土器の特徴が見られる、②円面硯(奈良時代・8世紀):文書行政の証拠。荏原郡内初の出土例、③渥美産・常滑産陶器(鎌倉時代・12~13世紀):一般的な村落からはあまり出土しない大甕と三筋壺‐などが出展される。
同コモンズでは、展覧会開催の意義を次のように説明している。
「遺跡」とはなんだろうか。一般には、歴史的過去に属する人々の活動の痕跡が存在する場所をいう。痕跡の多くは地中に埋もれている。だから、「遺跡」の内容を明らかにするには発掘が必要になる。
慶應義塾はミュージアム・コモンズ(KeMCo)の建設にあたり、この地に残る痕跡を対象とする発掘を行った。工事で失われる前に記録と遺物を将来に残すために行われたものだが、この発掘で縄文時代から江戸時代に至るさまざまな痕跡を見出し、多くの成果を得た。
一方、私たちはこの地に残る痕跡をすべて発掘したわけではない。例えば自然現象の痕跡、
近代以降の痕跡は対象にしなかった。発掘は実のところ痕跡を選択する行為であり、「遺跡」とそこで語られる「歴史」はその選択により構築されるものでもある。
この展覧会では、選択によって得た成果とともに、選択しなかったものにも目を向ける。構築された枠組みをいったん外してみることで、「遺跡」と「歴史」のあり方を問い直す機会としたい。