夜間中学は、市町村や都道府県が設置する中学校において、夜の時間帯等に授業が行われる公立中学校。学びを希望する多様な生徒が、共に学ぶことができる場となっているが、現在、15都道府県に40校が設置されている。文部科学省は一人でも多くの方が学べるよう、夜間中学の設置に向けて地方公共団体を応援。夜間中学が少なくとも各都道府県・指定都市に1校は設置されるよう、設置を促進している。
夜間中学とは、義務教育を修了しないまま学齢期を経過した人や、不登校などさまざまな事情により十分な教育を受けられないまま中学校を卒業した人、外国籍の人々などの、義務教育を受ける機会を実質的に保障するためのさまざまな役割が期待されている。
また、SDGsの観点からも、2030年の目標に向け、国内の外国人が国民と同様の教育を受けられるよう、夜間中学への積極的な受入れが期待されている。加えて、増加する不登校児童生徒やその経験者にとっても、夜間中学は将来の進学等に向けた希望となっている。
文科省では、「いまこそ〝夜中を全国に!〟を合言葉に、夜間中学の設置・充実を促進し、学びたい一人ひとりを応援しましょう」と呼びかけている。
夜間中学の全国設置は、政府の方針。「夜間中学の教育活動を支援するとともに、今後5年間ですべての都道府県・指定都市に夜間中学が少なくとも1つ設置される、このことを目指し、全国知事会や指定都市市長会の協力を得て、取り組んでいきたい、このように思います」(菅前総理大臣答弁 令和3年1月25日 衆議院予算委員会)。
各種閣議決定文書においても設置促進がうたわれている。
・「教育機会確保法等に基づき、全ての都道府県に少なくとも一つの夜間中学が設置されるよう促進する」(第3期教育振興基本計画 平成30年6月15日閣議決定)
・「全ての都道府県に少なくとも一つの夜間中学が設置されるよう、また、(中略)全ての指定都市において夜間中学が設置されるよう促進する」(子供の貧困対策に関する大綱 令和元年11月29日閣議決定)
・「多様な児童生徒等の教育機会を保障するため、夜間中学の設置(中略)を推進する」(経済財政運営と改革の基本方針2021 令和3年6月18日閣議決定)。
「夜間中学」はいわゆる通称であり、法令上定められた名称ではない。学校教育法第1条で規定される一般的な中学校と夜間中学は区別されていない。また、教育機会確保法第14条の「夜間その他特別な時間において授業を行う学校」がすなわち夜間中学のこと。公立夜間中学は、
・ 授業料は無償
・ 週5日間の授業がある
・ 教員免許を持っている先生が教える
・ 全ての課程を修了すれば中学校卒業となる
―という扱いとなっている。