2023年1月11日 【東大・情報研】新型コロナワクチンをめぐる人々の話題・関心の変化を分析―1億超の大規模Twitterデータを読み解く―

わが国での新型コロナワクチンの接種は、ワクチンの安全性・有効性に対する不安やワクチン接種に関する政策への不満があったにもかかわらず、欧米諸国と比べて迅速に進んだ。短期間で高い接種率に達する過程で、人々が何を考え、何に関心を抱いたかを知ることは公衆衛生上の重要な問題となる。

今回、東京大学大学院新領域創成科学研究科の小林亮太准教授、中山悠理氏(修士課程2年生)、国立情報学研究所の武富有香研究員、須田永遠研究員らは、千葉商科大学の橋本隆子教授、国立情報学研究所の宇野毅明教授、喜連川優所長、東京大学生産技術研究所の豊田正史教授、吉永直樹准教授、ゲント大学(ベルギー)Luis EC Rocha教授と共同研究を行い、2021年1月から10月につぶやかれた新型コロナワクチンに関する1億以上ものツイートを分析した。これまで、一つの国(日本)でのワクチン接種期間の全ツイートデータを網羅的に分析した研究はなかった。

テキスト情報を考慮に入れた時系列分析を行った結果、2021年6月の職域接種の開始を境に、ワクチン政策、ワクチンの有効性、関連ニュースなどの社会的トピックに関するツイートの割合が減り、接種の予定や報告、自身の副反応などの個人的事柄に関するツイートの割合が増えていることを発見した。

この研究から、Twitterによる個人的な体験の共有がワクチン接種に対する安心感の醸成に寄与した可能性が示された。

今後、公衆衛生などの政策決定を行う上で重要な人々の気持ちや興味・関心をおしはかる手段として、ソーシャルメディアデータ分析が活用されることが期待されます。

本研究成果は、「Journal of Medical Internet Research」のオンライン版で公開されている。


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