成果主義的制度は、生産性向上・国際競争力強化を期待されて日本の企業でも導入が進められてきた。欧米から輸入された成果主義的制度は世界中のどこでも日本でも同じように運用可能で機能することを前提に考えられている。しかし、成果主義的制度における各個人の貢献の評価、給与の配分や昇進の決定は、日本の文化的慣習や価値観の影響を強く受けて、米国などでの運用や機能とは異なった在り方となると考えられる。
京都大学の内田あや人間・環境学研究科修士課程学生(現:メルボルン大学)、中山真孝人と社会の未来研究院特定講師、内田由紀子教授の研究グループは、日本人と欧州系米国人を対象に調査を実施。日本人は米国人と比べて、中心人物たちの貢献度を低く、状況的要因の影響や上層部の報酬を大きく見積もることを実証した。この研究成果は、成果主義的制度の導入や設計で、運用する人間の心理過程やその背後にある文化的慣習や価値観を考慮する必要性を示している。
この研究成果は、国際学術誌「Asian Journal of Social Psychology」にオンライン掲載された。